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レディー・ガガの華麗なる逆襲 『アリー/スター誕生』でオスカー&グラミーどちらも射程内に

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 ソーシャルメディアを土台にして築いた強固なファンダム、奇抜なファッションやダンスをはじめとするビジュアルイメージを全面に押し出したプロモーション、マイノリティや社会的弱者へのエンパワーメント。レディー・ガガがデビューアルバム『ザ・フェイム』をリリースしたのは2008年。初めて全米1位(「ジャスト・ダンス」)に輝いたのは2009年。次のディケイドを規定するのはその前のディケイドの終わりの1〜2年というポップカルチャーのこれまでの法則をふまえても、2010年代の「ポップカルチャーのあり方」を準備したのはレディー・ガガだったと言っていいだろう。実際に、2011年のアルバム『ボーン・ディス・ウェイ』や2013年のアルバム『アートポップ』が世界中で巻き起こした熱狂はご存知の通り。2010年代序盤は「ガガの時代」であったと言っても過言ではない。

『アリー/ スター誕生 サウンドトラック』

 そんなガガも、今年でデビューから10周年。その強固なファンダムは現在も健在ながら、周りを見渡してみれば相対的に「シーンの顔役」というポジションからは遠ざかりつつある。このあたり、未だにガガとマドンナとのライバル関係(ちなみにマドンナの影響力はこの10年で恐ろしいほど暴落してきた)みたいな構図を持ち出している日本のマスメディア環境に慣れ親しんでいる人にとってはあまり実感はないかもしれないが、今やその一挙手一投足に注目が集まる女性シンガーといえば、ビヨンセ、リアーナ、カーディ・B、テイラー・スウィフト、アリアナ・グランデ、セレーナ・ゴメスといった面々。いつのまにか、ガガはパパラッチたちの最重要ターゲットではなくなってしまった。

 アーティスト自身にとってそうした環境の変化は喜ぶべきこと、と一般論では言えるかもしれないが、ことガガに関してはそんなことはないだろう。まるでリアリティショーの延長のように、ソーシャルメディアというガラス張りの部屋に自ら入って、そこで宣伝や広告の役割を担っていく現代のセレブリティたち。音楽シーンにおいて、このゲームを本格的に始めたのはガガだった。だとしたら、そこから退室するにはそれ相応の落とし前をつけなくてはいけない。ハリウッド進出、それも特大のメジャー作品で。それがガガの落とし前だった。昔も今も、セレブリティタワーのペントハウスにいるのは映画女優だ。

 2016年にリリースしたアルバム『ジョアン』はビルボードで初登場1位にこそなったものの、同年リリースのビヨンセ『レモネード』に初週売り上げの時点で約トリプルスコアの差をつけられ、2017年のコーチェラでは妊娠・出産でキャンセルとなったビヨンセの代役でトリを務めることに。さらに、本作『アリー/スター誕生』の企画も当初はクリント・イーストウッド監督、ビヨンセ主演で進行していた。プライドも肉体(2017年9月に線維筋痛症を患っていることを発表)もボロボロになっていたガガが、起死回生を賭けて挑んだのがこの作品だった。

 「映画監督」ブラッドリー・クーパーの確かな手腕。「女優」ガガの圧倒的な演技力と存在感。興行面、批評面の双方における『アリー/スター誕生』大成功の理由は、いずれもそのキャリアにおける初挑戦となった両者の秘められた才能が引き出されたことにあるが、もう一つ重要なのは、ガガの本業である「音楽家」としての貢献だ。彼女のオーセンティックなシンガーとしての力量、ソングライターとしての実力はファンならばよく知っていることだが、『アリー/スター誕生』でそれがなんの装飾もなく丸裸にさらけ出されたことで、「誰もが知っているあのガガ」とは異なる彼女本来のミュージシャンとしてのポテンシャルが完全開花しているのだ。

      

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