三月のパンタシアら作品に注目 視覚と聴覚の両面から若い世代に刺さるリリックビデオの世界
2010年代に入り急速に支持を広げ、その作品数を莫大に増やし続けているのがリリックビデオ。海外ではMV制作前のティザー的なプロモーションツールとして広がったが、国内ではニコニコ動画のボーカロイド楽曲映像で、歌詞を演出の一環として用いたことから一気に拡大を見せた。視覚と合わせてより受け手の心に印象を深く刻み込むといった長所を持つ総合芸術のひとつとして、音楽の新たな楽しみ方として受け入れられつつある。
なかでも、より自由度の高い作品が顔をそろえるのがイラストと楽曲との融合を軸にしたもの。それらの楽曲の特徴のひとつに挙げられるのが、10代~20代前半の若者の心に刺さる世界観やメッセージで構築されている、という点である。
若い世代の悩みや苦しみとダイレクトに繋がる美波
例えば2019年1月にメジャーデビューを控えた美波は、「正直日記」や「ライラック」などに代表されるように自らの心に渦巻く棘や闇の部分を包み隠さず言葉と歌声にして吐露。それと映像が結びつくことで、よりダイレクトに若い世代の悩みや苦しみと繋がり、大きな支持を得ている。