>  >  > サンパシが広げる、小説×音楽表現の可能性

三月のパンタシアが広げる、小説×音楽表現の可能性 新作『茜色の記憶』から紐解く

関連タグ
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 三月のパンタシアが、8月30日にシングル『ルビコン』をリリースした。

 表題曲はTVアニメ『Re:CREATORS』第2クールのエンディングテーマとなっており、2ndシングル収録の「群青世界」を手掛けたaokadoが作曲を、ゆうゆが編曲をそれぞれ担当した、爽快さと切なさの同居する楽曲だ。

 この表題曲の出来も素晴らしいが、改めて三月のパンタシアというプロジェクトの底知れなさがわかるのは、2曲目「リマインドカラー〜茜色の記憶〜」だといえるだろう。作詞/作曲/編曲はbuzzGが担当し、みあの伸びやかな声も印象的な楽曲だが、この曲にはさらに拡張された世界がある。

 リアルサウンドではこれまで、すこっぷ、ゆうゆ、n-buna、buzzG、40mPといったサウンドクリエイターの手腕や、ボーカルを務めるみあのポテンシャル、浅見なつやloundraw、bobといったイラストレーターによって増幅するイメージなどについて触れてきた。だが、唯一触れていないメンバーとトピックが存在する。それはノベリストのみのりであり、本稿のキーポイントになる”小説”というマテリアルだ。

 みのりは、三月のパンタシアの楽曲「星の涙」と連動した小説『星の涙』(スターツ出版刊)をケータイ小説サイト「野いちご」で連載し、原曲で取り上げられている”並行世界”をSNSに置き換え、感情表現が苦手でインスタグラムでしか自分を表現出来ない高校2年生の少女・理緒と親友・えれな、そして想いを寄せる少年・颯太の甘酸っぱい恋模様へと展開してみせた。さらに小説『星の涙』では、理緒の心の変化を丁寧に描くことで、より感情移入できる共感度の高い作品に仕上げている。小説を読むことで、より楽曲がキラキラして聴こえ、切なさも際立つ。フリーフォームなクリエイター集団にしか出来ない芸当だ。

「星の涙」 三月のパンタシア

 そして、話を「リマインドカラー〜茜色の記憶〜」に戻そう。今回は楽曲先行ではなく、小説『茜色の記憶』(スターツ出版刊)の連載を「野いちご」で始めるところから企画がスタート。主人公・くるみと「手紙に宿る“記憶を読む”ことができるが、読むたびに自分自身の大切な記憶を失ってしまう特殊能力」を持つ凪を中心とした人間ドラマが展開され、連載では、くるみと凪の恋愛模様と、それぞれの家族にまつわる物語が次第に広がっていった。

 物語が完結を迎えるころには、歌詞や浅見なつによるアートワークが先行公開され、ファンは物語の持つ世界観を何度も噛みしめることに。その後、buzzGによるノスタルジックなサウンドに、みあの切ない声が響くバラードの「リマインドカラー〜茜色の記憶〜」が公開されると、物語と連動する箇所を推察して楽曲を楽しむ様子がSNSなどにも多く見られるようになった。

三月のパンタシア 『リマインドカラー ~茜色の記憶~』

 この2作だけでも、三月のパンタシアは「音楽の物語を増幅させる小説」と「小説の世界観を補完する音楽」という相互関係を成り立たせ、集団によるクリエイティブの可能性をさらに押し拡げていることがわかるだろう。ほかにも、三月のパンタシアは楽曲「ブラックボードイレイザー」を元にしたノベライズコンテストを開催し、グランプリの作品をノベル化して刊行するなど、聴き手・読み手の側も巻き込んで、さらに小説×音楽の可能性を拡張する施策も行なっている。

三月のパンタシア 『ブラックボードイレイザー』

 これらの取り組みは、ノベル・音楽・アートのファンをもひとつなぎにし、どこから入っても他のアウトプットが自然と楽しめる、一度で二度どころか三度も四度も美味しいという、受け手にとっては贅沢この上ないパッケージのされ方だ。何より驚きなのは、ここまで語ってきた展開は、三月のパンタシアが登場してわずか2年の話だということ。この調子でそれぞれのジャンルをクロスオーバーさせ、新たな掛け合わせを生んでいった先には、何が待っているのだろうか。三月のパンタシアが次々に見せてくれるであろう、一層豊かなクリエイティブにワクワクするばかりだ。

(文=中村拓海)

■リリース情報
『ルビコン』
発売日:8月30日(水)
価格:初回生産限定盤(CD+DVD)¥1,500+税
期間生産限定盤(CD+DVD)¥1,500+税
通常盤(CD)¥1,100+税
<収録内容>
【初回生産限定盤】※トールデジパック仕様
CD:
1. ルビコン
2. リマインドカラー ~茜色の記憶~
3. ルビコン -Instrumental-
DVD:
ルビコン -Music Video-

【期間生産限定盤】※描き下ろしアニメジャケット・デジパック仕様
CD:
1. ルビコン 
2. リマインドカラー ~茜色の記憶~
3. ルビコン -TV Size-
DVD
『Re:CREATORS』ノンクレジットエンディング

【通常盤】 
CD:
1. ルビコン 
2. リマインドカラー ~茜色の記憶~
3. ルビコン -Instrumental-

『茜色の記憶』

■商品情報
『茜色の記憶』みのりfrom三月のパンタシア・著
発売日:8月28日(月)
価格:¥570+税

■公演情報
『三月のパンタシア ワンマンライブ〜きみとわたしの物語〜』
公演日:2017年11月25日(土)
開場16:30/開演17:30
会場:shibuya duo MUSIC EXCHANGE(東京都渋谷区道玄坂2-14-8 O-EASTビル 1F)
HP

■関連リンク
オフィシャルサイト
リマインドカラー~茜色の記憶~ 歌詞

「三月のパンタシアが広げる、小説×音楽表現の可能性 新作『茜色の記憶』から紐解く」のページです。>の最新ニュースで音楽シーンをもっと楽しく!「リアルサウンド」は、音楽とホンネで向き合う人たちのための、音楽・アーティスト情報、作品レビューの総合サイトです。

表示切替:スマートフォン版 | パソコン版