ザ・コレクターズ 加藤ひさし&古市コータローが語る、結成から色褪せぬモッズ精神と青春時代の感覚

ザ・コレクターズ、不変のモッズ精神

まあ結果、新宿ジャムは、青春だったってことですよね(古市)

ーーちなみに映画の方は、いつ頃から動き始めたんでしょうか。

加藤:ええと、武道館が終わってーー。

古市:半年ぐらい経った頃かな。

加藤:そう、スタッフのひとりが「いろんなバンドが今、映画を作ってる」と。「コレクターズも歴史長いし、おもしろいと思うんですよね」って突然言い出したんですよ。

古市:ドキュメンタリーね。

加藤:俺たちにはそういうプランがまったくなかったけど、「あ、いいかもなあ」と思って。それから「何を撮る?」って。映画って言っても、武道館は終わっちゃってるし、30周年イヤーも終わりつつあるし。さてさて、タイミング的にどうなんだろう? みたいに思ったんだけど、結果、武道館までの道みたいなのを撮るより、この方がよかったね。

古市:絶対よかったと思う。

ーー新宿ジャムが閉店するというのは、その時期に知ったんですか?

加藤:いや、もっと前から聞いていて。まあ長くやったところだから、閉まるんだったら1日ぐらいやりたいよね、って。そしたら「12月24日しか空いてません」って言われて「じゃあとりあえず押さえとこうよ」って。それは決まってたのよ、映画の話の前から。ところが映画の話が盛り上がって来て、「じゃあ何を撮ろう?」っていう時に、これから起こることは、ジャムが閉まる、ジャムは東京モッズを生み落とした場所、あそこで初めてワンマンをやった、1986年のデビュー前の映像が残っている、これはもう「さよならジャム」で撮るしかないんじゃないか? 東京にモッズがいたんだっていうことをみんなに教えた方がいいんじゃないか? っていうふうに、話が進んで行ったんです。

ーーいい映画になりましたよね。川口潤監督は、コレクターズにそんなに詳しくなかったそうですけどもーー。

加藤:詳しくないからよかったの。コレクターズのこともよく知らないし、モッズに関してもそんなに知らない、でもロックが好き、っていう人が作ったから。モッズとかよく知ってる人だったら、ディテールとかにこだわりすぎて、本当にモッズ映画を作ろうとするだろうし。コレクターズが好きだったら、もっと苦労話的なものを作りたがるだろうし。でも客観的に「バンドとしてここがおもしろいんじゃない?」っていうところを、つまんでくっつけてくれた感じがして。それがテンポよく観れる映画になった理由じゃないかな。

ーージャムが閉まるっていうのに、加藤さんたち、全然ジャムを持ち上げてなくて、「新宿ロフトに出られないからジャムに行ったんだ」とか平気で言っていて(笑)。でも、確かにそうだよな、ジャムって老舗の中では敷居が低かったよな、と思って。

加藤:でもおもしろいもんで、そこに縛られて、そこでライブをやって、そこから出て来たっていうのは事実だからね。

古市:まあ結果、青春だったってことですよね。

加藤:そうそう。望んでないんだけど、結果、そうなっちゃったという。

古市:まあ、そんなもんじゃん。

フレッド・ペリーよりも「SUPER DRY」の方が、自分の中で今モッズ(加藤)

ーーあと映画の中に、ファッションに対してすごくこだわっているシーンが何度も出て来ますよね。モッズがそういうものであることを知らない人が観ると、新鮮だろうなあと。

加藤:まあモッズになった瞬間から、洋服は大事で。もちろんこだわりもありますし。映画の時に、1986年の映像が残ってましたから、同じファッションで31年後にステージに立ってるっていうのがおもしろいよな、じゃあ黒のスーツって思ったんだけど、もう持ってなくて。どうせだったらモッズショップのスーツがいいよなと思って、買いに行って。

ーー奈良にあるお店まで行くシーンがありますよね。

加藤:アルバムのジャケットで僕が着ているパーカー、「SUPER DRY」っていうイギリスのメーカーなんですよ。ところが日本ではアサヒビールが「SUPER DRY」っていう商標を持ってるんで、入って来ないんです。輸入できない。で、俺の中で、モッズってイギリスの文化ですから。日本に入って来ないイギリスの「SUPER DRY」っていうのは、俺の中で今はめっちゃモッズを感じてるんですよ。

古市:はははは。うん。

加藤:香港でもアメリカでも売ってるんだけど、日本には入って来ないんです。フレッド・ペリーを着てるよりも、「SUPER DRY」を着てる方が、自分の中で今はモッズ気分なんですよ。そういうこだわりは永遠に持ってる。中国人とかアメリカ人とかいっぱい着てるんだけどね(笑)。でも、日本人でそれを着てるっていうのが、わかりにくいけど俺の中でのモッズなんです。

(取材・文=兵庫慎司/写真=三橋優美子)

■リリース情報
『YOUNG MAN ROCK』
2018年11月7日(水)発売
全10曲収録予定
¥2,800(+税)

LIVE CD+DVD 『WELCOME TO FLOWER FIELDS LIVE SHOW 1986』
2018年11月21日(水)数量限定発売
¥3,500(+税)

<収録曲>
01. クライム サスペンス
02. ひとりぼっちのアイラブユー
03. サブマリン
04. 限界ライン
05. セントラルステーション
06. ニューヨーク気分
07. 永遠の14歳
08. 泣かないで火星人
09. 恋のホットサマーレシピ
10. 振り返る夜

■ギャラリー展情報
『THE COLLECTORS EXHIBITION 2018″THIS IS MODS GEAR.”』
日程:2018年11月22日(木)~25日(日)
場所:GOBLIN.原宿店 -ROADSIDE-
東京都渋谷区千駄ヶ谷3−55−7 第18スカイビル1F

<OPEN~CLOSED(予定)>
11月22日(木)16:00~20:00
11月23日(金)、24日(土)12:00~20:00
11月25日(日)12:00~18:00
入場無料
問合せ:株式会社ワンダーガール info@wondergirl.co.jp

■イベント情報
『THE COLLECTORS「YOUNG MAN ROCK」発売記念インストアイベント』
<東京>
2018年11月24日(土)18:00START
タワーレコード池袋店6Fイベントスペース
出演:加藤ひさし、古市コータロー
<大阪>
2018年11月26日(月)18:30START
ディスクピア日本橋店イベントフロア テレビゲーム館2F
出演:加藤ひさし
イベント内容:トーク&握手会(握手会時にイベント限定特典の<直筆サイン入り色紙> もプレゼント)

■ツアー情報
『THE COLLECTORS TOUR 2019「YOUNG MAN ROCK」』
2019年1月20日(日)札幌cube garden
2019年1月26日(土)仙台CLUB JUNK BOX 
2019年2月2日(土)岡山YEBISU YA PRO 
2019年2月3日(日)福岡DRUM LOGOS 
2019年2月9日(土)新木場STUDIO COAST 
2019年2月16日(土)名古屋CLUB QUATTRO 
2019年2月17日(日)大阪BIG CAT 
料金:一般¥4,200 キッズ(小学生対象)¥2,800 ※D代別

チケット一般発売:12月1日(土)
問い合わせ:VINTAGE ROCK std.
TEL.03-3770-6900(平日12:00-17: 00)

■映画情報
THE COLLECTORS初のドキュメンタリー映画
『THE COLLECTORS~さらば青春の新宿JAM~』
11月23日(金・祝)より新宿ピカデリーほかにて劇場公開

■関連リンク
THE COLLECTORS公式HP
日本コロムビア公式HP
さらば青春の新宿JAM公式 HP
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