元キマグレン・ISEKIが語る、“経営者とアーティスト”双方の視点から見た音楽業界の現在

元キマグレン・ISEKIインタビュー

「新しくて流行っているものには、かならず理由がちゃんとある」 

ーーなるほど。ここからはプロジェクトを通じて制作する初のオリジナルアルバムについても聞かせてください。制作の上でテーマにしたものとは?

ISEKI:今回のアルバムは、これまで制作してたチームとは全然違うチームで、セルフプロデュースをするのも初めてなんですよ。

ーー楽曲制作陣に生本直毅さんや柳野裕孝さんといった、J-POP~アニソンなどの分野で幅広く活動している凄腕ミュージシャン・音楽作家を迎えていますが、彼らとはどういうつながりが?

ISEKI:2人とも同じアーティストのサポートをすることが多いんですけど、僕と2人はそれぞれ違うところで出会って。『OTODAMA』でもアーティストのサポートとして出演していましたが、決定的なきっかけは『Yamaha~』で2人にサポートメンバーとして入ってもらったことですね。コミュニケーションもすごく取りやすくて、少し時間は空いたんですけど仲良くもなって。

ーー実際に彼らと絡むことによって、音作りにはどんな変化が生まれましたか?

ISEKI:やっぱり今までと全然違うんで、だいぶ面白いです。それに、今回からは自分が完全に制作に携わる形なので、意見を言い合いながら細かく作って行きました。2人とも僕より感性も若いし、自分たちの音楽に対してのブランディングをよく考えている。そんな2人と会ったことで、自分の音作りを見直したんんですよ。振り返ってみると、僕ってロックをやって、そこからレゲエのバンドを始めて、キマグレンができて、ソロになってAORのカバーをして、どんどんダンスミュージックの道を辿っている気がしたんです。なので、その延長線上であることを意識しながら、もっとお客さんと一体感を出したり、みんなと遊びながら音楽をやる感覚を掘り起こそうとしたんです。柳野くんは特にダンスミュージックが得意なので、がっつり手伝ってもらいました。

ーー実際にアルバムに収録される楽曲を聴かせていただきましたが、完全にダンスミュージックに振り切るのではなく、ご自身のずっとやってきた音楽に、少しダンスミュージックのエッセンスを入れて踊りやすくした、という印象を受けました。ただ踊るだけではなくて、聴きながらゆったり揺れることのできる気持ちいい作品というか。とくにその鍵になっているのが「Workman」なのかなと。

ISEKI:ありがとうございます。30代後半にさしかかって、次に自分を表現するなら何だろうと考えた結果が「Workman」なんだと思います。

ーーメッセージは強いんですけど、曲が軽やかなのでスッと入ってくるんですよね。

ISEKI:僕は仕事をしながら音楽をやっていて、やり続けないと生きていけない人間なわけです。だったら働きながら好きなことをやろうぜ、一緒に楽しもうぜ、という思いを込めて作りました。

ーーそして、プロジェクトを立ち上げた上でのリターンも個性的で楽しいですが、このあたりはどのようにして考えていったのでしょう。

ISEKI:それはもうCAMPFIREの担当者にいろんな意見をいただいて、そのうえでベーシックな形を作りました。

ーーTwitterでも案を募集されていました。

ISEKI:募集するのも、CAMPFIREの担当者からの提案ですね。そこでまたファンの方とのコミュニケーションも生まれて、面白かったです。

ーーご自身の中で出てこなかったような案も出てきたり?

ISEKI:そうなんです。自分の中で抱え込んで、全部決めているようなやり方ではでてこないようなものはいくつもありました。例えば、僕はコーヒーがすごく好きで、プロから淹れ方を習ったりしていたくらいなんですけど、それを知ってくれているファンの方が「ISEKIの淹れたドリップコーヒーが飲みたい」と。それはおもしろいなと思ったし、曲を聴いてもらうのと一緒だなと。僕が自分が気に入った豆で淹れたコーヒーを飲んでもらいながら、気に入ったお菓子と、自分の作ったアルバムを楽しんでもらう。聴覚、味覚、視覚で楽しんでもらえるイベントというのは、やってみたいなと強く思いました。

ーーそれはやっぱり普段から活動を見届けていて、趣味趣向も把握しているからこそ提案できる案ですね。

ISEKI:そう。僕のことが客観的に見えてるんでしょうね。ある意味お客さんがプロデューサーでもある。それがCAMPFIRE、クラウドファンディングというシステムの面白さでもあるのかもしれません。ファンクラブよりもオープンなのに、距離感は近くて濃いじゃないですか。

ーー楽曲のMV制作もプロジェクトの中に入っていますが、この監督はキマグレン時代にMVの監督をしていた園田俊郎さんが撮る予定なんですね。

ISEKI:そうですね。皆さんのお力を借りながら実現に向けて動いています。新しいことをやりながらも、今までの培った縁だったり、ファンの方が「それはちょっと見てみたいな」と思うものを作りたいんです。新しい方と組むのもいいなと思ったんですけど、僕の中では園田さんともう1回一緒にやりたかった。彼とはキマグレン時代にすごく充実した時間を一緒に過ごしたので、その時間をまた共有して、新しいものを一緒に作りたいなと。

ーー長らく応援してきたファンにとっては堪らないと思います。

ISEKI:昔から見てるファンの方も、同じコラボなのに全然違う、と思ってもらえるものにしたいですね。

ーー気になったんですけど、リターンには「MVのダンスレクチャー」という項目もあるんですよね。

ISEKI:MVは制作・企画段階なんですが、ここらで踊ろうかなと思って(笑)。「Workman」が踊り出しそうな曲なので、振付師さんにもお願いして、僕自身もダンスを習っているんです。なので、リターンでは僕がMVのダンスをレクチャーします。ビシバシと、スパルタ教育スタイルで(笑)。その動画をTikTokにアップしても面白いかもしれないですね。

ーーTikTokのお話もそうですけど、ISEKIさんは新しいサービスやシステムを抵抗なく使うタイプなんですか?

ISEKI:いえ、保守的なところはあるんですけど、最近は「それじゃ駄目だ、新しいものにどんどん挑戦していかないと」とモードが変わっていて。新しくて流行っているものには、かならず理由がちゃんとあるわけですし、そこから目をそらしてはいけないなと。だからCAMPFIREさんにも出会えて、こうしてプロジェクトを立ち上げることができたので。

(取材・文=中村拓海/撮影=稲垣謙一)

■プロジェクト情報
「【ISEKI 10 周年プロジェクト】プレミアムアルバムと最新MVを制作したい!」
受付期間:2018年8月1日(水)22:00〜10月17日(水)23:59まで
受付はこちら

■ツアー情報
『TOUR 18’〜CROSS HEART〜』(弾き語り編成)
2018年10月20日(土)仙台 SENDAI COFFEE(OPEN18:15/START19:00)
2018年10月27日(土)福岡 LIV LABO(OPEN18:15/START19:00)
2018年10月28日(日)広島 ヲルガン座(OPEN18:15/START19:00)
2018年11月3日(土)埼玉 音楽喫茶 Mojo(OPEN17:30/START18:30)
2018年11月4日(日)北海道 mushicahallcafe(OPEN18:15/START19:00)
2018年11月24日(土)宮崎ポトリージョ(OPEN18:15/START19:00)(バンド編成)
2018年11月11日(日)心斎橋 JANUS(OPEN11:15/START12:00)
2018年11月17日(土)名古屋 BL café(OPEN16:45/START17:30)

■関連リンク
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