odolがまた新たな始まりを告げるーー世武裕子ゲストに招いた自主企画『O/g-7』を見て

odol自主企画『O/g-7』を見て

 odolが自主企画『O/g』の東京公演『odol LIVE 2018 “O/g-7”』を、8月3日に表参道 WALL&WALLで開催した。6月には宮城、愛知、福岡、大阪の4公演が行われていたが、東京での開催は今回が初。7月29日には結成間もない2014年の“ROOKIE A GO-GO”以来となるフジロック出演も果たし、3日目の“RED MARQUEE”でトップバッターを堂々務め上げたが、この日はそんな一連の流れの集大成でありつつ、また新たな始まりを告げる一夜になったとも言える。

 打ち込みを駆使したエキセントリックなダンストラックから、凛とした歌声を聴かせる弾き語りまで、ふり幅は大きくも、確かに一本筋の通った音楽への向き合い方がodolとの好相性を感じさせたゲストの世武裕子のライブに続いて、odolのメンバー6人がステージに登場。前方下手から、森山公稀(Pf/Syn)、ミゾベリョウ(Vo/Gt)、井上拓哉(Gt)、後方下手から、Shaikh Sofian(Ba)、早川知輝(Gt)、垣守翔真(Dr)がそれぞれの位置に着くと、アンビエントな音を奏で、そのまま「夜を抜ければ」へ。かつてはラストの定番だったこの曲で始まるというのが、夜から朝を迎えた今のodolのモードを示していると言える。

世武裕子
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世武裕子
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 そんな彼らの現在地を示す一曲が、「夜を抜ければ」からシームレスに繋がって始まった「大人になって」。5月に配信で発表されたこの曲は、バンド全体で一定のリズムを刻みながら、それぞれのフレーズが細かく変化していくというミニマルなアンサンブルの曲で、バンドのインテリジェンスを感じさせる一曲でもある。そして、さらなる明確な新境地を示したのが、7月に発表された最新曲「four eyes」。ダンスミュージックのエッセンスを持ち込んだこの曲では、井上がシンセを演奏。スネアのロールとともに、ミゾベが〈僕は普通じゃない/今も信じていたい/僕は普通じゃない/まだ信じていたい〉と何度も繰り返し、ロングブレイクを迎える中盤は間違いなくこの日最初のハイライトだった。

森山公稀
ミゾベリョウ
井上拓哉
Shaikh Sofian
早川知輝
垣守翔真
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森山公稀
ミゾベリョウ
井上拓哉
Shaikh Sofian
早川知輝
垣守翔真
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 odolというバンドはこれまで作品を発表するごとに変化を繰り返し、たとえば、くるりやRadioheadのような資質を持ったバンドだと思っていたが、その変化のスピードがますます速くなって、今年は一曲リリースするごとに大きな変化を見せている。この得体の知れなさこそが、現状のodolの大きな魅力になっていると言えよう。最近何度か対バンイベントでもodolのライブを見ているが、そこでも彼らは常に異物感を醸し出している。いわゆる歌もののギターロックと一緒にやることもあれば、海外のクラブミュージックと共振するようなバンドと一緒にもなり、それぞれの要素を持ち合わせてはいるのだが、何にしろ一定のカテゴライズにはハマらない(いや、「ハマれない」と言うべきか)。

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