odolがまた新たな始まりを告げるーー世武裕子ゲストに招いた自主企画『O/g-7』を見て

odol自主企画『O/g-7』を見て

 たとえば、「four eyes」にしても、少し前から披露されてはいるが、この曲を演奏することですぐにダンスフロアが生まれているかというと、現状ではそうではない。むしろ、音楽的探求の中で生まれ落ちたこの曲を、まだメンバー自身ライブでどう鳴らすかを模索しているようにも見える。「大人になって」も「four eyes」も、歌詞のテーマは成長に伴って純真さが失われて行くというアンビバレンスについてであり、まさに今の彼らが自分でも追いつけないほどの時間の流れの中を生きていることを示しているように思う。

 Shaikhがシンセベースを弾く「またあした」は、音源では一分ほどの小品だったが、この日は後半でボーカルにディレイをかけ、空間を広げるダブ的な展開に突入。今年の3月にリリースされ、こちらも“時間の経過”について歌う「時間と距離と僕らの旅」を経て、ライブは後半へ。そこで印象的だったのは、ミゾベの歌心である。各楽器が折り重なってリズムが走り出す、ドラマチックな間奏に心を揺さぶられる名曲「years」をはじめ、この日のミゾベは身振り手振りを交えながら、声を振り絞るように歌い続けていた。

 かつて森山が担当していたMCがミゾベに代わり、ややぎこちないながら、オーディエンスに真摯に語りかける姿からは「届けよう」という姿勢が確かに感じられるのだが、その一方で、彼は今も自分と向き合いながら、歌を紡いでいるようにも見える。トレードマークのSGを持って、本編ラストで歌われた「生活」、そして、アンコールで演奏された「飾りすぎていた」という初期曲での青い叫びもまた、やはり彼らの大きな魅力だ。

 MCでは10月にフルアルバムをリリースするという発表も。加速度的な変化の中を生きる6人がどんな音を届けてくれるのか、今から非常に楽しみだ。

(写真=今井駿介)

■金子厚武
1979年生まれ。埼玉県熊谷市出身。インディーズのバンド活動、音楽出版社への勤務を経て、現在はフリーランスのライター。音楽を中心に、インタヴューやライティングを手がける。主な執筆媒体は『CINRA』『ナタリー』『Real Sound』『MUSICA』『ミュージック・マガジン』『bounce』など。『ポストロック・ディスク・ガイド』(シンコーミュージック)監修。

■セットリスト
『odol LIVE 2018 “O/g-7”』
2018年8月3日(金)東京・表参道 WALL&WALL

1.夜を抜ければ
2.大人になって
3.four eyes
4.狭い部屋
5.GREEN
6.またあした
7.時間と距離と僕らの旅
8.years
9.逃げてしまおう
10.生活
En.飾りすぎていた

■関連リンク
odol オフィシャルサイト

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