ラストアイドルの魅力伝える新たな“入口” 『好きで好きでしょうがない』個人PV22作全レビュー

ラストアイドル22名個人PV全レビュー

Type C

Someday Somewhere 清原梨央「清原梨央と清原梨央」 

 「この恋はトランジット」で間島和奏とWセンターを務め、愛媛出身ということから初代愛媛『白球ガール』に就任している清原梨央。1stシーズンで暫定メンバーを辞退した蒲原令奈、初代ラストアイドルとして勝ち上がった長月翠と、唯一二度の敗退を経験しているメンバーでもある。「清原梨央と清原梨央」というおよそ7分半に及ぶ自分との対話は、センターから外れた経験や客観視した自分の姿、アイドルとは何かというテーマまで、清原が問い、清原が答え続けてく。清原がどれだけラストアイドルに夢を託しているかが分かる、ノンフィクションの物語だ。(director:佐藤太)

ラストアイドル 清原梨央「清原梨央と清原梨央」【個人PV(予告編)】

 LaLuce 鈴木遥夏「14歳最後の告白」

 鈴木遥夏は、小学生の頃からアイドルに対する憧れを抱き、アイドル活動未経験で初代ラストアイドルのメンバーとしてデビューした。彼女の個人PVは、中学3年生の女の子がアイドルになる3日前の物語。劇中の6月29日に15歳になるという設定は、実際の鈴木の生年月日と同じ。限りなく等身大の鈴木が描かれている。教育実習生の先生に“14歳最後の告白”をするシチュエーションは、先述した大森莉緒の個人PV「かっとばせ!大森」と似通った部分があるが、鈴木の映像には前半とラストに撮影のオフショットが収められている点で、また違った個人PVに仕上がっている。(director:山口勇貴)

ラストアイドル 鈴木遥夏「14歳最後の告白」【個人PV(予告編)】

 Good Tears 高橋真由「mayu takahashi as kinetic blonde」

 プロフィールの特技に「ボクシング」と挙げている高橋真由の個人PVは、戦闘型ヒューマノイドと戦う「mayu takahashi as kinetic blonde」。時代は架空の「202X」。高橋演じるマユの心臓に埋め込まれたナノチップを戦闘型ヒューマノイド・TR-3003が狙うという設定で、マユは女優、アイドルでありながら、キネティックブロンドと呼ばれる金髪の戦士として戦う……というトンデモ設定である。しかし、高橋がヒューマノイドをなぎ倒していく姿は様になっており、映像が進むにつれ金髪姿も段々と見慣れてくるのが不思議だ。(director:藤原道仁)

ラストアイドル 高橋真由「mayu takahashi as kinetic blonde」【個人PV(予告編)】

 Love Cocchi 山本愛梨「突然の雨に降られても」

 PerfumeやBABYMETALのSU-METALなど、名だたるアーティストを輩出してきたアクターズスクール広島38期生の山本愛梨。これまで、「失恋乾杯」「青春シンフォニー」とグループのセンターを務めてきた。個人PV「突然の雨に降られても」では、いじめという“突然の雨”に打たれ自身の殻に閉じこもってしまう栞を演じている。特に、印象的なのが劇中歌として山本がアカペラで歌う「青春シンフォニー」。天気雨が降る中、笑顔で答えを見出し〈ここから始まる/青春シンフォニー〉と歌う姿は、彼女の未来に広がる余白を示しているようだ。(director:林大造)

ラストアイドル 山本愛梨「突然の雨に降られても」【個人PV(予告編)】

Type D

 Good Tears 池松愛理「池松愛理、東京編。」

 先日、「ミスマガジン2018」読者特別賞を受賞し、改めて注目を浴びている池松愛理。「池松愛理、東京編。」と題された個人PVは、ポエトリーリーディングに乗せて東京の街を歩く映像だ。福岡から上京してきた池松が、「わたしはアイドル」と連呼し、誰かを照らす光になることを誓う。タイトルにある「東京編。」というワードからは、その土地毎の個人PVという意味ではなく、池松が東京でアイドル活動をしていることに対する強いメッセージを感じ取ることができる。(director:マエダヒカル)

ラストアイドル 池松愛理「池松愛理、東京編。」【個人PV(予告編)】

LaLuce 大石夏摘「amai minimum”Yubi"quitous」

 ラストアイドルファミリー最年少の大石夏摘が、今回の個人PVで挑むのは“指スケボー”とも呼ばれるフィンガーボード。ほかメンバーと比べるとおよそ1分半と短い映像ながら、その分情報量が凝縮されたスタイリッシュかつ何度も観たくなる個人PVである。映像ディレクターは、BUMP OF CHICKENや渋谷慶一郎+初音ミク「THE END」など多くの作品を手がける東市篤憲。iPhoneⅩとマイクロドローンを使って撮影(参考:ATSUNORI TOSHI Twitter)したという映像からは、大石の見事な指さばきが窺い知れる。緩急のあるオチも見事。(director:東市篤憲)

ラストアイドル 大石夏摘「amai minimum"Yubi"quitous」 【個人PV(予告編)】

 Someday Somewhere 間島和奏「do not betray my feelings [emotions]」

 ラストアイドルの初期暫定メンバーのセンターであり、本作「好きで好きでしょうがない」のセンターを務める間島和奏。Someday Somewhereのセンター、リーダーと常にプレッシャーを背負うエースの立場にいる彼女の感情表現は、湧き起こるような爆発力を感じさせる。間島の個人PVで表現されているのは、彼女の中にある喜怒哀楽の感情。「わたしのなかには4人のわたしがいます」「うさぎは今日も檻の中」と心に潜めたもう一人の自分の存在を垣間見せる。(director:かとうみさと)

ラストアイドル 間島和奏「do not betray my feelings [emotions]」 【個人PV(予告編)】

 シュークリームロケッツ 松本ももな「8月1日AM11:00」

 「想像上のフルーツ」に続き、ラストアイドルの2ndシングル表題曲としてセンターを務めた「君のAchoo!」で多くのファンを魅了した松本ももな。個人PV「8月1日AM11:00」のタイトルが指すのは、今回のシングル『好きで好きでしょうがない』の発売日。パン屋で買ったコッペパンを2人で食べ歩き、公園ではしゃぎ、スイカを割り、締めはラーメン。愛らしい笑顔で語りかける松本の素の表情が詰まった、夏の日の疑似デート体感映像。好奇心旺盛な彼女のキャラクターが伝わってくる。(director:岡奈なな子)

ラストアイドル 松本ももな「8月1日AM11:00」【個人PV(予告編)】

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