Beverly、新アルバム『24』で示した歌手としての進化と可能性 ツアー最終公演を観た

Beverly、新AL『24』で遂げた進化

 Beverlyが初めてフルバンドを従えてワンマンツアー(「Beverly 1st JOURNEY『AWESOME』」)を行なったのは、2017年10月のこと。それは東名阪のツアーで、東京公演は渋谷WWWで開催された。続いてそのアンコールツアーが12月に東京と大阪で行なわれ、東京は赤坂BLITZが満杯になった。今回、東名阪をまわった『Beverly 2nd JOURNEY 「24」』はそこから約半年ぶりとなるフルライブで、東京は代々木YAMANO HALLにて開催。彼女にとってのフルライブは、この日が6回目。東京では3回目だ。

Beverly

 まだそれだけしかやっていない。ライブアーティストとしては新人だ。フィリピンから単身で日本に移り住み、東京で活動するようになって約2年。週に2回、日本語のレッスンに通っているというBeverlyは、日本語のMCにまだ少したどたどしさが残る。だが、そのたどたどしさを初々しさと換言することもできる。(自分を含め)観客たちはみな、そんな彼女の日本語MCを優しくニコニコしながら聞いている。たまに飛び出す天然ボケ的なそれを聞いて、またニッコリ。そんな可愛らしいMCは、観ている者たちをあたたかな気持ちにさせるし、なんなら“ずっと見守っていこう”という親心に近い感覚をもたらしもする。彼女に近い年代の観客ならば親近感を持つことにもなるだろう。一方、歌唱はというと、まったくもって新人らしからぬスキルと表現力の豊かさを感じさせる。何しろ堂々たる歌いっぷり。喋っているときは“近くにいる飾り気のない女の子”といった感じなのだが、演奏が始まると途端に“歌姫”になる。MCの初々しさと、歌唱におけるスケール感。これがBeverlyというシンガーの現在であり、そのギャップが今のライブの面白さにも繋がっている。

 7月8日、代々木YAMANO HALL。開幕前から6月に発売された2ndアルバムの背面と同じようにドットで構成された24の文字が、ステージの背景に映されている。紗幕の向こうには定位置にスタンバイしたミュージシャンたちの姿が透けて見え、少しすると24の文字が23、22、21、20、19、18……とドットの並びの変化によってカウントダウンされていく。そして1をカウントしたところで音がバーンと鳴り、紗幕が落ちてステージ中央にBeverlyの立ち姿が。胸の部分が少しあいた衣装も髪に巻いたスカーフも『24』のジャケット写真と同じなら、腕を腰にあてたポーズもまた同じ。つまりアルバムから飛び出してそこにいるようにも見える粋な始まり。彼女の第一声は、「トーキョー! エブリバディ、クラップユアハンズ!」だった。

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