Beverly、新アルバム『24』で示した歌手としての進化と可能性 ツアー最終公演を観た

Beverly、新AL『24』で遂げた進化

 バンドは、ギター、ベース、ドラム、キーボード、パーカッション、コーラスの6人編成(パーカッションとコーラスは女性)。前回ツアーはキーボードとコーラスが二人ずついたが、今回はひとりずつになって、新たにパーカッションが加わった形だ。オープナーは「Power of love」。続けて「All I Want」「LOVE THERAPY」と、アルバム『24』の曲順通りに歌われ、観客はピンクのペンライトを横に振りながらその歌に応える。ライブを意識して作られた作品というわけでもなかっただろうが、しかしそれらの曲は想像以上にライブ映えする。筆者は90’sR&Bタッチの「LOVE THERAPY」が『24』のなかで特に気に入っているのだが、ナマで聴くこの曲での明るくハッピーなボーカルによって、(歌詞の一節じゃないが)ステージが一気に〈色づいてゆく〉よう。曲の途中で挿まれるラップ部分も軽やかで、彼女自身がとても楽しんで歌っていることが伝わってきた。

 「みなさんに会えて、大きなステージに立てて、最高のミュージシャンと一緒にライブをすることができるのが本当に嬉しいです。“Beverly 1st JOURNEY『AWESOME』”から半年、私にとって待ちに待ったライブです。今夜はたくさん……24時間あるので(笑)、楽しんでください!」。そんなふうに挨拶し、また自身で選んだセラピー効果のある香りを会場内に漂わせていることを観客たちに伝えると、続いてゴスペル的なムードも湛えた力強いバラード「Baby don’t cry~神様に触れる唇~」を歌唱。抑えたAメロからBメロへと繋いで、サビで一気に感情を爆発させる。その緩急のつけ方は見事なものだ。

 「Fly in the sky」「Hurting Me」「Future」……『24』の5曲目「JUMP!」だけはもう少しあとに持ってきたものの、このあたりもほぼアルバムの曲順通りに進行。オランダのEDM・DJデュオ、Sick Individualsがトラックとアレンジを手掛けた「Fly in the sky」は、ライブにおいては生演奏と打ち込みを上手くミックスさせ、録音ブツ以上の昂揚感がそこに現れた。ハイトーンに定評のあるBeverlyが限界近くまで高い声を出して「もっと高く」と歌うところなどは、その言葉通りでまさに空へと突き抜けていくよう。苦し気なところなど微塵もなく、あんなにも高い声を力強く響かせることのできるシンガーが、果たして日本に何人いるだろうか。「ジャンプ! ジャンプ!」と観客を煽ったりもするBeverly。大いに盛り上げたあとは、オートチューンを用いたミディアム曲「Hurting Me」を歌い、「ロボットボイス、どうですか?」と観客に投げかけたあと「ト~キョ~、ト~キョ~、タノシンデマスカ~」とオートチューンで遊んでみたりもするのだった。そして未来への思いとメッセージが詰まったバラード「Future」を熱唱。文字通り熱唱。決して背が高いわけでもないBeverlyの姿が、こういうときは本当に大きく見える。

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