新しい地図は未来という真っ白な地図に彩りを添えていく 香取慎吾『T-FACTORY』を体験して

香取慎吾『T-FACTORY』体験レポート

 稲垣吾郎、草なぎ剛、香取慎吾による“新しい地図”のホームページに掲げられているのは「皆さんと一緒につくる集いの場所」という言葉だ。その言葉通り、新しい地図の取り組みは、彼らと共に体験する喜びをいくつも提供してくれた。SNSでダイレクトなコミュニケーションを可能にし、インターネットテレビの生放送で毎月同じ時間を過ごす。映画『クソ野郎と美しき世界』が上映されれば、次回作を目指して動員数の行方にワクワクしたり、彼らが歌う「雨あがりのステップ」を通じてチャリティーに参加したり……。自由意思で、柔軟に、同じ“好き”を持つ人たちとつながっていく。そんな経験が、まだ見ぬ未来という真っ白な地図に彩りを添えていくのだ、と教えてくれる。

 なかでも、これまで以上に香取の画家としての活動が充実したことにより、アートに対する親しみを高めてくれたように思う。香取の呼びかけによって、写真の加工やぬり絵に挑戦し、SNSで再発信をしてそれぞれのカラーを楽しむ。いつのまにか私たちの中にある遠慮や固定観念を解き放ち、人生をより豊かにしていこうというポジティブなエネルギーをくれるのだ。

 そして、この7月には、Tシャツをカスタマイズするプロジェクト『T-FACTORY』が開催された。場所は、香取が新進気鋭のアーティストたちと期間限定でギャラリーを行なった帝国プラザ1F・JANTJE_ONTEMBAAR。床には、そのとき描かれた楽しいイラストも残っている。“こうじゃないとダメ”という感覚にとらわれることなく、自分の直感を信じてフリーになれる空間。そこで、香取が描き下ろしたアートピースを選び、Tシャツにレイアウト。すると、ブラザーのガーメントプリンター「GTX」で、すぐにプリントされるというものだ。

 先日、筆者もこのプロジェクトに参加してきた。タテ5マス×ヨコ6マスのエリアに、1マス×1マスの数字を最大4つ、2マス×2マスのイラストを最大1つ、1マス×1マスまたは1マス×3マスのモチーフを最大1つ。アートピースをどれにしようか、そしてどこに配置しようか……と目移りしていると、あっという間に時間が経ってしまった。完全予約制なので、余裕を持ってじっくり選べるのも、うれしい配慮。シートに鉛筆で書き込んでは“やっぱりこっちにしようかな”と消しゴムで直す。“迷う”という行為を楽しむのは、大人になって久しぶりな気がした。忙しい日々では、“迷ってられない”とあくせくしがちだ。だが、たくさんの楽しい選択肢を前に“これもいいな”、“あれもいいな”とウキウキするのは、実に贅沢な時間であることを思い出す。

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