新しい地図は未来という真っ白な地図に彩りを添えていく 香取慎吾『T-FACTORY』を体験して

香取慎吾『T-FACTORY』体験レポート

 「迷っちゃいますね」目が会った方に思わず話しかけると、「もう1回来ようかなって思ってて(笑)」という笑顔が返ってきた。さっそくプリントしたTシャツを、床に描かれた似顔絵イラストに着せるように置いてみたり、入口付近にある“T-FACTORY”のロゴの前に立ったり、順番に場所を譲り合って写真を撮っている様子にも温かい気持ちになった。こうしたやさしさに溢れた空間の発見こそ、新しい地図を書き込む冒険なのだ。

 実際に、その場でプリントされた世界にひとつだけのTシャツを手にすると、もっといろんなデザインを試してみたいという気持ちになった。筆者が選んだアートピースは、ハートのイチゴをメインにしたもの。ハートフルで楽しい体験ができたこの空間を忘れたくないという想いで選んだ。そして、今年を示す“2018”と香取のアートピースであることを示すモチーフ。きっと、多くの人がデザインにかける想いがあったのだろう。ほかの人はどんな想いを込めてアレンジをしたのか、その感性に触れたくなる。草なぎも「トラちゃん」とつぶやいて、Tシャツアレンジを楽しんでいるのを見て(引用:草なぎ剛オフィシャルTwitter)、より人としての愛らしさを感じた。そんなふうにアートへの好奇心や人の輪が広がっていくのだろう。この先も、ぜひこうした参加型のプロジェクトを開催してほしい。願わくば気軽に東京へ来れない方が参加できるような企画も。すぐにではなくとも、きっといつか実現してくれるのではないかと期待してしまう。“もっとこうなればいいな”という模索こそ、新しい地図らしさなのだから。

(文=佐藤結衣)

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