シド、『暴れ曲限定LIVE』で見せた“刺激”と“興奮” 燃え尽き感100%のステージを振り返る
そんなマオらしい言い回しから、ライブは切り裂くような鋭い演奏で攻める「capsule」からイントロで「うおおおおお」という歓声が上がったインディーズ時代のナンバー「必要悪」へ。激しく、どこかねじれたナンバーをマオは熱唱。エンディングではShinjiが座りこんでフィードバック音を響かせた。そして近年のシドの中でロックに振り切れたナンバー「バタフライエフェクト」もライブならではの荒々しさで鳴らし、このまま突っ走るのかと思いきや、「新曲持ってきました!」と集まったファンを喜ばせ、本ツアー初披露のナンバー「VOICE」を演奏。〈世界でいちばん熱い夜にしよう〉と歌うこの曲は、メンバーのコーラスも含めライブ感たっぷりのアッパーなナンバーで、新曲にも関わらずハンドクラップで熱い盛り上がりを見せた。
ライブは後半に向かうにつれて熱を帯び、「Dear Tokyo」では一体感が半端ないシンガロング。爽快感たっぷりの「one way」ではShinjiがドラム台に上がり、ゆうやと視線を合わせながらプレイ、明希はセンターのモニターに足をかけてビートを刻み、マオはHiコールと横モッシュで盛り上がる景色を見て「すげえな。オイ」と笑顔を見せた。
そのテンションは途切れることなく、マオがシャウトし、Shinjiがエキゾティックなギターソロを響かせる「プロポーズ」を投下。ラストは“暴れ曲限定LIVE”の気分を象徴するような「眩暈」で締められた。
シドとオーディエンスの両者が刺激しあい、挑発しあった本編が終了し、アンコールではマオが「セックスみたいなライブしようか?」とさらに煽り、大歓声。勢いそのままでの「赤紙シャッフォー」、続いてメタリックな「敬礼ボウイ」と硬派なシド全開。
ダブルアンコールでも初期のシドをあますことなく見せつける。「park」ではShinjiが腕をぐるぐる回すアクションでギターを弾き、高速ヘドバンナンバー「吉開学17歳(無職)」では明希がフロアにダイブ。
暴れ曲にふさわしい燃え尽き感100%のステージで魅了した。
興奮さめやらない会場のスクリーンに今後のシド情報が発表されると再び大歓声。7月25日にはライブ映像商品『SID TOUR 2017 「NOMAD」』、8月22日にはミニアルバム『いちばん好きな場所』がリリースされ、9月より全国ツアー『SID 15th Anniversary LIVE HOUSE TOUR 「いちばん好きな場所 2018」』も開催されることが明らかになった。15周年のアニバーサリーはシドとファンが絆を深めてきた場所に焦点を合わせたものになりそうだ。
(写真=今元秀明)
■山本弘子
音楽ライター。10代の時にパンクロック、グラムロック、ブルースに衝撃を受け、いまに至る。音楽がないと充電切れ状態に陥る。現在、Webサイト、音楽雑誌などで執筆中。