『NGT48 単独コンサート~朱鷺は来た!新潟から全国へ!~』&『北原里英卒業コンサート~夢の1115日 新潟の女になりました!~』レポート
NGT48はまた、春を一つ越えて強くなっていく 地元初単独公演&北原卒コンを振り返る
NGT48が4月13日と14日に、新潟・朱鷺メッセでコンサートを行った。この2日間にわたる公演は、それぞれグループの“これまでとこれから”が十二分に示されており、彼女たちにとっても、ファンにとっても、大きな意義のある公演だったように思う。
1日目に行われたのは、グループの拠点・新潟では初めてとなる単独コンサート『NGT48 単独コンサート~朱鷺は来た!新潟から全国へ!~』。この公演が表したのは、NGT48というグループの勢いと充実ぶり。なぜなら、2017年4月12日にメジャーデビューシングル『青春時計』が発売されてからの1年は、『AKB48 49thシングル選抜総選挙』における荻野由佳(5位)、北原里英(10位)、本間日陽(13位)といった快進撃(参考:荻野由佳&NGT48、なぜ大躍進?)や、『AKB48グループ リクエストアワー セットリストベスト100 2018』での圧倒的な結果(参考:NGT48、『リクアワ』でAKB48グループ史上稀にみる快挙)、など、輝かしい結果を残し続けてきた期間だったからだ。
コンサートは、無色の世界で絵を描いている加藤美南を、3rdシングル曲「春はどこから来るのか?」でセンターを務める本間が「色を探す旅」に連れ出し、色にまつわる楽曲を披露しながら、スクリーンに映し出された絵が彩られていくというコンセプトのもと進行。チームNIIIのオリジナル公演曲「誇りの丘」や、「みどりと森の運動公園」、「ナニカガイル」などで緑を、「てもでもの涙」「青くさいロック」「Blue rose」で青を表してみたりと、グループのオリジナル曲やAKB48グループ楽曲を混ぜてみせる。
NGT48のメンバーである柏木由紀が原曲を歌っている「てもでもの涙」は、荻野・西潟茉莉奈のドラフト2期生コンビが楽曲の世界観を継承したり、センターを務める中井りかの天真爛漫さが引き出された「青くさいロック」や、北原里英、菅原りこ、長谷川玲奈、西村菜那子が艶やかに歌う「Blue rose」など、ただ楽曲を歌うだけでなく、コンセプトに添いながら楽曲の新たな一面を引き出していたことも記しておきたい。
かと思えば、加藤美南がアクロバットを繰り広げた「赤いピンヒールとプロフェッサー」をはじめ、「パレオはエメラルド」、「Glory days」と、北原がかつて兼任していたSKE48の楽曲が次々に飛び出したり、乃木坂46の「制服のマネキン」が高倉萌香をセンターに据えてパフォーマンスされたり、後半には「青春のラップタイム」(NGT48)や「桜、みんなで食べた」(HKT48)、「思い出せてよかった」(STU48)を据えたりと、無邪気に姉妹グループ・坂道シリーズの垣根すら超えてみせる。そこから小熊・西村・村雲颯香と新潟万代太鼓飛龍会が万代太鼓を打ち鳴らし、重厚な音をバックに「RIVER」「NGT48」が歌われた。この流れには、48グループの意志を“継承”しながら、同時に坂道シリーズへの“回答”でもあるNGT48が、それらのグループを上回るオリジナリティを打ち出していくのだ、という決意表明のようなものを感じさせられた。
ここまでの楽曲で、スクリーンに映し出された加藤の絵には、鮮やかな虹色が加わり、荻野はそれを眺めて「無限の可能性があるってことだよね!」と笑ってみせた。それを象徴するかのように、「NGT48」ではドラフト3期生が呼び込まれ、研究生が『AKB48グループ リクエストアワー セットリストベスト100 2018』で3位にランクインした「下の名前で呼べたなら・・・」を歌うなど、“次の可能性”を見せることも忘れない。
後半では、ファンキーでポップな「反省ソーダ」、カントリーやトイポップなどがミクスチャーされたバグベア楽曲の「あとで」、トロピカルハウスを大胆に取り入れた西潟センター曲の「Whatcha Gonna Do」と、3rdシングルのカップリング曲が次々に披露された。先述したように48楽曲も坂道楽曲も織り交ぜたセットリストにおいても、3rdシングルの楽曲は際立ってクオリティが高いように思う。
本編の最後は先に記した姉妹グループの楽曲から、「10年桜」、「桜、みんなで食べた」、「青春時計」、「春はどこから来るのか?」と春ソングの応酬で、スクリーンの絵には桜が咲く。加藤はこの桜について「ピンクは里英さんとNGT48を表していて。ピンクって一色じゃないじゃないですか。たまたまこうしてNGT48として出会えたことを表現したくて、色んなピンクを塗りました」と語った。いまのNGT48は、早くも3作で3人のセンターを抜擢する層の厚さ(=色の多さ)を持つタレント集団となったが、加藤の絵はまさにその様を的確に表しているようだった。
その充実を裏付けるかのように、アンコールでは「研究生全員昇格」「チームG発足&組閣」とポジティブな発表が続く。北原里英の卒業後を担うチームNIIIの新キャプテンには加藤が、副キャプテンには荻野が抜擢された(チームGの人事は初日公演で発表)。意外だという声もいくつか聞いたが、筆者は決してそうは思わない。新潟出身メンバー・暫定センターとして活動初期から矢面に立ち、デビュー以降は悔しさも味わった彼女だからこそ、グループ全体を俯瞰し、この日の絵のようにグループを表現することもできる。本人は自身を「頼りない」と言うが、ワンマンで引っ張るグループよりも、周りが支えて一丸となる集団のほうが、今のNGT48が持つカラーには合っているし、終演後アナウンスの「NGT48の目標は朱鷺メッセだけじゃない、大きなドームに立ちたい、AKB48を超えて見せたいです!」と言い放つ度胸にも胸を打たれた。そうして未来への期待を膨らませながら、単独コンサートは終了した。