ALが明かす、今この4人で音楽を鳴らす醍醐味 「違う人間が集まって小さな天国を作っている」

AL、4人で音楽を鳴らす醍醐味

「理想や逃避願望、いろんなことが絡み合っている」(藤原)

ーー重いか軽いかといったら軽いのかもしれないけど、今回のアルバムは前作以上にエスケーピズム、いわゆる逃避願望みたいなものが全編を覆っている作品でもあるなと思って。もともと長澤くんの表現にもandymoriの表現にも、そういう要素は色濃くあったけれど、それが重なることによってより純度が高くなっているような。

小山田:「とびましょう」とかは、まさにそういう曲ですよね(笑)。

ーー小山田くんの過去を知る人間としては「どの口で言ってるんだ」と思う曲ではありますけれど(笑)。

小山田:そうですよね(苦笑)。ただ、最後の曲、「地上の天国なソングライターの歌」とかは、これは(長澤)知之が昔作った曲が原型なんですけど、ここで歌ってる「天国」というのは逃避の先ではなくて、そういう場所をこの地上に作りたいという願いを歌った曲で。

ーーそれは、60年代的なヒッピーイズムとはどう違うのかな?

長澤:それがヒッピーイズムかどうかはわからないけれど、自己肯定ができた上で他人を肯定することができたら、それが理想だと思うんですよね。自分と人が違うということを肯定する。それって、人の気持ちを慮って、その人が何を考えているかを想像したり、その人の価値観を尊重したりすることじゃないですか。そうすることで人間関係がうまくいったり、衝突を避けることができる。大きな話ですけど、その延長で、戦争をしないでいることとかもできるんじゃないかって。そういう考え方は理想主義的すぎるのかもしれないけれど、それぞれが正義を主張するんじゃなくて、それぞれの違いを認めることができるような場所。それが自分にとっての、「地上の天国なソングライターの歌」で歌ってる「天国」のイメージで。それを現実の世界でこうして願って曲にするのは、自分は価値があると思うし、それを1人で歌うのと4人で演るのとでは、やっぱり全然意味が違うんですよ。バンドというのは、違う人間が集まって小さな天国を作っているようなものだと思うから。

藤原寛

ーーじゃあ、このアルバムで歌われているのは逃避願望ではないということですね。

藤原:いや、それがまったくないわけではないと思います。きっと、そういう理想とか、逃避願望とか、いろんなことが絡み合っているんじゃないですかね。

長澤:まぁ、すごくアルコールを摂取するバンドでもありますしね(笑)。

ーー全員が?

長澤:そうですね(苦笑)。だから、日常生活においては常に「逃げたい」と思っている人間たちがバンドをやっているのは事実ではあるんですけど。ただ、よりよい世界を真剣に願う気持ちというのもーー俺だけかもしれないけれどーーあります。

後藤:どっちもあります。日常がつらすぎて泥酔したりもしつつ、音楽の中で理想の世界を作りたいという思いもありつつ。

ーーアルバムの個人的なクライマックスは、中盤の「丘の上の記憶」から「輝く飛行船」への流れでした。

小山田:「丘の上の記憶」は知之が弾き語りのライブでやってた曲で。最初に聴いた時から「ALで一緒にやりたい」って思ったんですよ。それで、ちょうどその曲を聴いたすぐ後に、「輝く飛行船」ができて。幼少期の頃に見たきれいな景色が広がっているような。

長澤:「輝く飛行船」は、最初に壮平が弾き語ってくれて。「あぁ、いい曲だね」って。

後藤大樹

ーーその後に続く「LOVE ME」の曲名はまさにそのままですけれど、アルバム全体で「愛されたい」ってことをずっと歌っている気がしていて(笑)。

後藤:そう言われるとちょっと恥ずかしくなりますね(笑)。

小山田:実は「LOVE ME」をそのままアルバムタイトルにしてもいいかなって、ちょっと思ってたんですよね(笑)。

藤原:自分はそんな愛を懇願しているつもりなかったんだけど(笑)。

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