祭nine.が中野サンプラザ公演で見せた、“芸達者なボイメンのDNA”と各メンバーの魅力

祭nine.、中野サンプラザ公演レポ

「ライブにノリきれない人がいたら、俺らが岐阜までかついで帰るよ? ……ちょっとそこ! 田舎とか言うな(笑)」(寺坂頼我)

 そんなゆるいMCで中野サンプラザの空気を和ませていた祭nine.は、BOYS AND MEN(以下ボイメン)の弟分で、今年3月に生まれたばかりのユニットだ。8月にシングル『嗚呼、夢神輿』でメジャーデビューし、通算300公演&のべ10万人動員という前人未到クラスのリリースイベントを行ない、同曲でオリコンウィークリー2位(ちなみにこの週の1位は星野源)という快挙を成し遂げているが、ホールでのワンマンはこの日が初めて。しかも本拠地の東海エリアではなく東京でのライブということで、会場に集まった祭りっ子(祭nine.ファン)たちにとっても、どんなステージで魅せるのか未知数な部分が大きい7人なのだ。

 この日は公演タイトル『祭nine.秋祭り2017 〜どデカイ太鼓打ち鳴らせ!in 中野サンプラザホール〜』で予言(?)されていたとおり、力強い和太鼓の演奏で幕を開けた。リーダー・寺坂頼我の先導で、力強く太鼓を打ち鳴らす7人。トレードマークの笑顔を封印した雄々しい表情がスクリーンに大写しになり、会場のざわつきが一瞬にして大きくなった。この日のために新調された衣装は、寺坂頼我、野々田奏、清水天規のフロント3人はワンショルダー風のデザイン。彼らの得意とするアクロバットで鍛えた筋肉質な肩のラインも目を引く。

 祭nine.で和太鼓といえば……とピンと来ていた人も多かったと思うが、この和太鼓演奏から、イントロ部分で和太鼓が使われているデビュー曲「嗚呼、夢神輿」へとそのままフェードイン。曲が始まるとすぐにカラフルなペンライトをくるくる回す祭りっ子たちを見て、メンバーたちも喜びを隠し切れない様子だ。オープニングから一気に祭モードへと場の空気をアゲていく。

 イントロで大きな歓声が上がったのは、BOYS AND MEN 研究生のナンバー「ドドンコ Don’t worry」。アッパーな曲に合わせたパフォーマンスはもちろん、観客によるペンライトの激しい動きも含めてエンターテインメントといえる曲だ。衣装チェンジタイムにはリリースイベントなどでおなじみのメンバー紹介映像が流れたが、アクロバットを交えながら彼らの本拠地・名古屋の街並みを7人が駆け抜けるパルクール(街の手すりや階段などの構造を活用したエクストリームスポーツ)風のパフォーマンスはかなり見ごたえがあり、毎回見入ってしまう。

 カジュアルな衣装で登場した7人が続けて繰り出したのは「太陽ZAN-MAI」。デビュー時のインタビュー(https://realsound.jp/2017/08/post-100943.html)で本人たちが「(この曲のポイントは)歌詞がセクシーなんですよね。僕らは10代でまだピュアな年代だから(笑)、今までああいう曲は歌ってこなかったんですよ」(野々田奏)と語っていたが、「残酷な天使のテーゼ」などを手掛けた及川眠子による歌詞は確かに刺激的。EDMテイストのやや攻撃的なサウンドをバックに、<脱ぎ捨てろ モラルのDress><上も下も亜熱帯>といったきわどいワードを彼らが歌うのもインパクトが強い。この曲には長めのダンスパートがあるが、ダンスリーダー・清水天規のキレのあるソロから、同じ振りを全員のユニゾンで展開していく流れにはゾクゾクさせられた。

 「中野サンプラザ、やってきたぜーーー!!!」(寺坂頼我)という第一声で始まったMCでは、転輪太鼓というプロチームの猛特訓を受けたというオープニング部分の裏話や、新しい衣装のデザインがやや露出度高めな件などでワイワイ盛り上がる。7人中5人がまだ現役高校生の彼ら、こういったときに見せる男子校ノリはまさに等身大でなんだか微笑ましい。

 清水天規による曲のド頭部分<ワッちょっちょ!ワッちょっちょ!~>のコール&レスポンス講座から始まった「オマエもかっ!?」からは、親しみやすいニュアンスの楽曲が続く。この曲では全員が1列に並ぶフォーメーションがあるのだが、ここで7人を先導するのは神田陸人。アイドルとしては飛び道具的なこのグループの中にあって、ダンスや歌も“THE正統派”な彼のパフォーマンスには非常に安定感がある。

 大のフェス好きという浦上拓也の発案で、メンバーと観客が一体となってタオルを回して盛り上がるナンバー「ボクたちのONE」では銀テープが炸裂。ヒップホップ色の強い「えーーーーーてっ☆」では、盛り上げ隊長・野々田奏が全身をめいっぱい使って祭りっ子たちを煽る、力強いパフォーマンスも印象的だった。

 兄貴分ボイメンのナンバー「なごやめしのうた」では、さまざまな“名古屋めし”の名前を歌詞に盛り込んだファニーな世界観に合わせてメンバーがチアダンスを披露。こういった曲では、女子ドルにも多大な影響を受けているという“うらぽん”こと浦上拓也のキュートなパフォーマンスが映える。

 そして「いろんな祭nine.を見てください!」というMCから、シャッフル調の「SING-ALONG」で清水天規、浦上拓也、横山統威、高崎寿希也がジャケットなどのシックなコーディネートで登場すると、客席からは歓声が上がる。研究生曲では横山統威の歌パートも多いが、最年少らしからぬしっとり感も魅力的だ。同じく高1の寿希也はこのところ急激に背が伸びているそうで、手足の長さも含めてダンスもかなりステージ映えするようになった。

 続けて、ボイメン研究生の派生ユニット・Babyz(寺坂頼我・野々田奏・北川せつらで結成)のナンバーを連投披露。おそらく80年代アイドルのオマージュと思われるデニムベスト×ハーフパンツのレトロなコーディネートで衣装で観客の度肝を抜いたのが、寺坂頼我・野々田奏・神田陸人の3人で披露した「Bye Bye 最後のヒロイン」。ボイメンの楽曲にも見られるが、こういった“昭和リスペクト”な作品では特に、寺坂頼我のヒーロー的で動きの派手なパフォーマンスが際立つ印象だ。

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