AK-69が掲げる、HIPHOPシーンへの新たな野望「本質的なところに目が向く仕組みを作りたい」

AK-69、HIPHOPシーンに掲げる“野望”

2度目の武道館を成功できれば次の扉が開くと確信していた

ーーシングルのリリース日には、3年半ぶりの日本武道館公演『DAWN in BUDOKAN』も開催されました。ここまでの道のりを振り返ってみていかがですか。

AK-69:あっという間でしたね。昨年の11月にアルバム『DAWN』を出して、Zeppツアー、全国5カ所のプレミアムクラブツアー、そこからフェスやイベントにもいろいろ出て、その間でいろんなアーティストのみなさんとコラボもやらせてもらって。日本武道館のライブは、正直できるかできないかの瀬戸際だったんです。でも武道館だからこそ証明できることがあるんじゃないかと、自分自身信じてやまない思いがあって。なんとか強行することに決めたんですけど、そのままボーっと当日を迎えてたら、今ごろ滑ってたかもしれないですね。フェスで自分のことを知らないお客さんをロックしていくこともそうだし、普段出ない朝の情報番組のライブに出させてもらったり、UVERworldやDOBERMAN INFINITYとのコラボで新しいお客さんにアピールすることができたり、いろんな点と点を線で繋げていくことをしていきました。そういった活動を経て、今回の武道館ソールドアウトにたどり着けたんだと思います。AK-69のプロジェクトは、この武道館が滑ったらもう終わりだと思ってたし、成功することができれば次の扉が開くということも確信していたので、次の扉を開けるための用意を1年かけてしてた感じはありますね。

ーー険しい道をあえて選ぶ。

AK-69:そうですね。よくも悪くも、お膳立てされた場所に解き放たれるタイプのアーティストではないので。ライブの内容も演出の仕方もそうですけど、すべてのプロジェクトで自分が指揮をとってるので、リアルな結果が自分に全部跳ね返ってくる。だからこそ、やる意味があるのかなと。本当の意味でリアルなメッセージを持って、リアルな音楽をやって、武道館に再び立つアーティストは数えるほどしかいないと思う。その役目を担って、俺にしか放てないメッセージを放って、爪痕をがっしり残したいと思いながら臨みました。

ーー先ほどお話にもあったように、様々なアーティストたちとのフィーチャリングも積極的に行ってきました。UVERworldとのコラボはどんな手応えがありましたか?

AK-69:彼らはアーティストとして、人として仲良くなったからこそできたコラボでしたからね。TAKUYA∞はマブダチレベルで仲が良くて、「Forever Young feat. UVERworld」は俺の名義の歌だけど、UVERworldのシングルにも収録されたし、彼らの主催ライブに何度か出演させてもらったりもしました。俺は他ジャンルとのコラボレーションは初、UVERworldはコラボレーション自体が初だったので、彼らがコラボレーションするということだけで、ファンはその意味をわかってくれていたと思います。ビジネス的な音楽なのか、本当に繋がってやっている音楽なのかということも含めて。UVERworldから入ってきてくれた新しいリスナーもいるし、清木場俊介もしかり、聞いてもらう機会の少なかった人たちにAK-69の音楽をたくさん届けることができましたね。

ーーUVERworldとのフィーチャリング曲はLinkin ParkとJAY-Zのコラボを思い出す、ロックファンにも刺さるフレッシュな音楽でした。

AK-69:本当に良い曲ができたと思ってます。俺の音楽を昔聴いていたUVERworldのファンが、久々に聞いてヤバイと思ってくれたりもしたみたいで。そういう意味でも、やって良かったなと思いますね。

――「Shatter」でタッグを組んだDOBERMAN INFINITYとは、六本木〜渋谷のクラブでゲリラライブも行いました。

AK-69:彼らとも良いコラボになりました。お互いにないものを補い合えたというか。かっこいいものにちゃんと反応できるお客さんに知ってもらえたのは俺的にもすごいありがたいことだったし、DOBERMAN INFINITYもHIPHOP好きなメンバーが集まって活動しているグループなので、俺とやることによってよりHIPHOP感の強い曲にトライできたんじゃないかな。

――ゲリラライブは、ふだんからやっているんですか?

AK-69:やってますね。毎回リリースの時は、地元のクラブを何件かハシゴして、ゲリラで突然ライブしたりして。地元だと余計に喜んでくれるんですよ。今回のゲリラライブも、こちらからやろうと提案したんです。俺たちの得意技ですね(笑)。

ーーFlying B Entertainment設立から2年が経とうとしていますが、設立前から変化したことはありますか?

AK-69:自分たちの城を持って成功させなきゃいけないってことは、全然変わってないですけど、今までは鎖国状態だったなと感じますね。HIPHOPの畑でしか物事を考えてなかったし、人との付き合いもほとんどなかったですけど、こうやってFlying Bを立ち上げたことによって、改めて人と人との繋がりや心の繋がりで起こる現象、パワーは大きいなと。インディペンデントを掲げてやってますけど、AK-69の名前の裏にはいろんな人の力が加わってこの名前が掲げられていると強く感じています。

ーーHIPHOPシーンもこの数年でかなり変化しているように思います。シーン全体の盛り上がりをAKさんはどのように見ていますか?

AK-69:HIPHOPというカルチャーに目が向けられていることだったり、ラップを始めるハードルが下がっていたりするのは、とてもいいことですよね。特にフリースタイルバトルの影響もあって、コマーシャルの演出で使われるくらいラップは一般的なものになっていて。ただ、フリースタイルってすごい面白いし良いんですけど、結局一つの競技みたいなものなんですよね。サッカーでいうとリフティングをやり合ってるみたいな。リフティングがすごくても、試合で点が決められるかとは別の話というか。HIPHOPがお茶の間に出て嬉しい反面、音楽が広がることとはまた違ったものなので、この波をちゃんと繋げたいという思いがあります。

ーーAKさんが発案者として立ち上がったAbemaTVの番組『SMASH HIT』もその思いの一環として生まれたものなのだとか。

AK-69:『SMASH HIT』は曲ができる裏側を取り上げて、曲に注目がいくようにするための番組です。HIPHOPの本質的なところにも目が向く仕組みをこれからもっと作っていきたいですね。今までも何回もチャンスはあったんですよ。Zeebraさんが『笑っていいとも!』に出た時代もあったし。いい波が繋がらずに終わっていった、過去の失敗は繰り返したくないなと思いますよね。昔だったら、フリースタイルが流行ったら「フリースタイルなんてHIPHOPじゃないから」みたいなことを言い出しちゃうみたいな。お互い打ち消し合って終わり、そんなことはしたくない。フリースタイルももちろん立派なHIPHOPのカルチャーだし、どんな形であれ、HIPHOPからたくさんスターが出るべきなんじゃないかなと思ってます。

ーーHIPHOPのアーティストの方に取材していると、共通の認識として曲のヒットが必要だということはみなさん言っています。あとは90年代、さんぴんCAMP時代の反省を踏まえて、いろんなスタイルのHIPHOPがあって良いという考え方にシフトしている印象があります。

AK-69:全体的にそうなってるんですね。良かった、良かった。意固地のヤツが多いのがHIPHOPなので(笑)。村八分文化というか、誰かが成功しても打ち消し合う、それの連続だったんですよね。ブームではなく、しっかりカルチャーとして根付かせていきたいです。

ーー全体で、みんなでシーンを盛り上げていくのが一番良いと。

AK-69:絶対そう。その方が、結果的にみんながWin-winになると思いますけどね。

ーー最後に、今の日本のHIPHOPシーンに一番必要なものはなんだと思いますか?

AK-69:チャンスはどんどん活かしていって、今の勢いでHIPHOPが日本のお茶の間にもっと広まったら良いと思いますね。そしてそうなった暁に一番かっこいいとされるのは、リアルなメッセージが詰まったHIPHOPであってほしい。それは、フロウがなんとなく英語ぽくってかっこいいとかそういうファッション的なものではなくて、レベルミュージックとして生まれたHIPHOPの反骨精神、生き様の中で生まれるメッセージを放つ音楽としてかっこいい楽曲・アーティストが認められるシーンになってほしいです。

(取材=松田広宣/構成=久蔵千恵)

AK-69「I Still Shine feat. Che'Nelle / Stronger」10月18日発売

■リリース情報
『I Still Shine feat. Che‘Nelle / Stronger』
10月18日(水)発売
初回盤【CD+DVD】¥1,620(税込)
通常盤【CD】¥1,000(税込)

CD(初回共通)
M1. I Still Shine feat. Che'Nelle
M2. Stronger
M3. Hangover -Space Dust Club Remix-

初回盤DVD
I Still Shine feat. Che'Nelle (Music Video)
Stronger (Music Video)

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