高橋芳朗の新譜キュレーション 第1回
BUSY P、ホセ・ジェイムズ、Thundercat……まだまだ続くディスコ/ブギー熱を高橋芳朗が読む
今年序盤の台風の目といえるThundercatの新作『Drunk』。収録曲のなかではマイケル・マクドナルドとKenny LogginsをフィーチャーしたAOR/ウェスト・コースト・ロックのオマージュ「Show You The Way」が話題を集めていますが、併せて推したいのがアルペジエイターを駆使したスペイシーなブギー「Friend Zone」。Thundercatが関与したディスコ/ブギーといえばケンドリック・ラマー『To Pimp a Butterfly』収録のグラミー賞受賞曲「These Walls」がありますが、まさにあの曲をよりファンキーにスムーズにビルドアップしたような仕上がりです。
いろいろと紹介してきましたが、目下いちばんリピート率が高いのがこちら。Common『The Dreamer / The Believer』やNas『Life Is Good』にバックグラウンド・ボーカルとして参加、亡くなる直前のPrinceがお墨付きを与えたことでも注目されたシディベの新曲「Strangers」。ジャネット・ジャクソンの影がちらつく吐息交じりの流麗なボーカル、そしてさりげなくフィーチャーされたトークボックスがいまの気分な極上のアーバン・ブギーです。制作はSkrillexらと共同でジャスティン・ビーバー「Children」を手掛けていたニコ・スタディ。Sidibeは昨年リリースのEP『You Got That Luck』(ウォーリン・キャンベルやジャック・スプラッシュのプロデュース曲、Princeがフェイバリットに挙げていた「I'm Only Dreaming」などを含む)も素晴らしいので、この機会にぜひ。
◾️高橋芳朗
1969年生まれ。東京都港区出身。ヒップホップ誌『blast』の編集を経て、2002年からフリーの音楽ジャーナリストに。Eminem、JAY-Z、カニエ・ウェスト、Beastie Boysらのオフィシャル取材の傍ら、マイケル・ジャクソンや星野源などライナーノーツも多数執筆。共著に『ブラスト公論 誰もが豪邸に住みたがってるわけじゃない』や 『R&B馬鹿リリック大行進~本当はウットリできない海外R&B歌詞の世界~』など。2011年からは活動の場をラジオに広げ、『高橋芳朗 HAPPY SAD』『高橋芳朗 星影JUKEBOX』『ザ・トップ5』(すべてTBSラジオ)などでパーソナリティーを担当。現在はTBSラジオの昼ワイド『ジェーン・スー 生活は踊る』の選曲も手掛けている。