デビューシングル『NAI NAI NAI』リリースインタビュー
Lily's Blowが目指す“男よりも男前な音楽” 「ゴリゴリのロックをやっている女の子が少ない」
「フラストレーション」や「怒り」から歌詞が生まれることも多い
ーー解散した後は、東京に残って一人で音楽活動をしていたわけですよね。
NANA:はい。バンドをやっていた時は、曲作りやライブのブッキング、告知とか色々な物事を決めることを、他のメンバーに頼ってしまっていたんですよね。本当に自分がやりたいことをやるっていうんじゃなくて、決まったことをこなしていたというか。バンドを解散してからは、一人で一からやりました。地元ではそこそこ人気あったけど、東京に出てきたら、ファンもなかなかつかないし、上手くいかないことばかりで厳しい状況だったんですけど、「自分の本当の実力ってどのくらいなんだろう」「一人でどこまでいけるんだろう」と思って活動していました。それで上手くいかなかったら諦めよう」って。
ーー具体的には、どんな活動をしていましたか?
NANA:オーディションを受けてみようと思っていました、数打ちゃ当たるじゃないですけど(笑)。そうすると、私と同じように応募している人たちにも沢山会えるんじゃないかと思って、でも、そうこうしているうちに、プロデューサーの近藤ひさしさんにお会いしたんです。
ーーどんな出会いだったんですか?
NANA:バンドの解散が決まって、最後にライブをやらせてもらった場所が下北沢WAVERさんだったんです。そのときに店長さんから、「これからどうするの? みんな音楽は続けていくの?」って聞かれて。「はい、それぞれ続けていこうかと思っています。私は片っ端からオーディションを受けています」って話したら、「知り合いの人がいるから、良かったら会って話を聞いてみない?」って言ってくださって。
ーーじゃあ、解散して割とすぐに次の道が拓けたのですね。かなりラッキーじゃないですか(笑)。
NANA:本当ですよね……(笑)。下北沢WAVERさんでライブをしていなかったら、こんな巡り合わせはなかったわけですからね。ありがたいなと思います。
ーー近藤さんの、最初の印象は?
NANA:私、結構ツンツンしてて、当時は反抗期だったし(笑)、「大人なんて...」とか思っていたんですけど、ひさしさんに対しては、そういう気持ちがなかったんですよね。裏表がなくて、とても信用できるなって思いました。
ーーLily's Blowという、バンド名義での活動ですが、この由来は?
NANA:私、花言葉が好きなんです。別に全部を覚えているわけじゃないんですけど、咲いている花の花言葉を調べたりするのが好きで。「lily」はユリという意味ですけど、ユリの花って可愛らしくて儚いイメージがあるじゃないですか。でも、花言葉には「純潔」や「無垢」と同時に、「陽気」や「威厳」という言葉もあったりして。一つの感情だけじゃなくて、色んな感情が含まれているんですね。それがすごくいいなあと思って、ユリの花に「追い風」を吹かせよう、という意味を込めて付けました。
ーー確かにデビューシングル曲「NAI NAI NAI」も、「怒り」や「フラストレーション」を、軽快なロックンロールに乗せているところが面白いですよね。
NANA:怒っているのか、楽しんでいるのか、どっちなのかな? みたいな。「(相手のこと)憎めないし、嫌いじゃないけどね」っていう感じ(笑)。自分で歌詞を書くときも「フラストレーション」や「怒り」から生まれることが多いですね。部活の時もそうだったんですが、褒められるより、叩かれて悔しくて頑張るタイプなんです(笑)。
ーーこの曲は、映画『傷だらけの悪魔』の主題歌ですが、どのように使われているのですか?
NANA:映画の内容はすごくシリアスで、途中に演奏シーンがあって。その裏でイジメが行われているっていう。クラスの生徒は、気づいていたり、気づかないふりをしていたり、教室の中のそういうギャップを表現するために、私たちの演奏シーンが使われています。映画のシリアスなテーマと全く違う明るい曲調なのは、そういうギャップを出すためなのだと思います。
ーー役者としても出演したんですよね?
NANA:私は「滝沢菜々」という役柄で出演しました。教室の隅でずっとギターを弾いてて、イジメにも、気づいてはいるけど無関心。常に傍観者という役です。
ーー撮影現場はいかがでしたか?
NANA:現場はすごく楽しかったです。高校生に戻った気分でいたんですけど、役者のみなさんはプロの方たちなので、いざ本番になると役に入り込んで。その演技を間近で見させてもらって「すごいなあ」と思いました。
ーー今後、役者もやってみたいって思いますか?
NANA:そうですね、機会があればやらせていただきたいです。色んなことに挑戦していきたい。