THE YELLOW MONKEYは“攻め”の姿勢選んだ 15年ぶりシングル『砂の塔』分析

 バンドサウンドにこだわり、イントロのギターリフからブルースやハードロックの骨組みを活かして展開していくストレートなロックナンバーの「ALRIGHT」。この曲は「THE YELLOW MONKEYが15年ぶりに出すならこれしかない」という真っ直ぐな楽曲だった。

 それに比べると、「砂の塔」はバンドらしさを押し出した楽曲ではない。イントロではストリングスの印象的なフレーズが耳をひく。マイナーキーの進行で、サスペンス・ドラマの主題歌らしい不穏なメロディがつづられていく。かなり歌謡曲テイストの強いサウンドだ。実際、このストリングスアレンジは昭和の歌謡曲の時代を支えてきた作曲家・編曲家の船山基紀の手によるもの。吉井和哉にとっても敬愛する存在であり、KinKi Kids「薔薇と太陽」でもコラボレーションを果たしたことで生まれた縁ということで、抜群のケミストリーを生み出している。

 また、歌詞においても、かなりドラマに寄り添った内容となっている。<そこに住めばどんな願いも叶うと言われる愛の城 だけどなぜかみんな笑顔はハロウィンのパンプキン>という歌い出しも、サビの<幸せも裏切りもいつもそばにあるよ 上に行くほど傾いた塔 安定はしない>というフレーズも、タワーマンションを舞台に人間模様の裏側を書いたドラマを思わせるものだ。ただ、そこでドラマだけでなくバンドの物語や人生に深いところでリンクするような言葉を選んで歌っているのも吉井和哉の作家性と言えるだろう。

 様々な意味で、THE YELLOW MONKEYにとっての「攻め」の選択肢となったのが「砂の塔」だったのではないかと思う。

■柴 那典
1976年神奈川県生まれ。ライター、編集者。音楽ジャーナリスト。出版社ロッキング・オンを経て独立。ブログ「日々の音色とことば:」Twitter

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