ゲーム×ラウド×アニソン×アイドルの融合体!? 魔法少女になり隊の“過剰にもほどがある”世界

多ジャンル融合の気鋭バンド・ましょ隊の魅力

 そして三つ目は、アニメソング。魔法少女になり隊はインディーズ時代のシングル『BA・BA・BA ばけ~しょん』で「おジャ魔女カーニバル!!」を、『KI-RA-RI』では「ハレ晴レユカイ」をカバーしている。火寺バジルの歌うキャッチーでわかりやすいメロディを展開の激しいラウドなサウンドで見事に料理していて、彼らの曲としても違和感のないカバーになっている。

 改めて聴き返すと、『おジャ魔女どれみ』の主題歌「おジャ魔女カーニバル!!」も、『涼宮ハルヒの憂鬱』の主題歌「ハレ晴レユカイ」も、原曲の段階で上記のバンド達とどこか相通じるところのある「雑食的な異種混交」のテイストを持っている。魔法少女になり隊との相性の良さはそこにもあるだろう。そして、まだまだカバーできるアニソンの鉱脈はたくさんある。

 四つ目は、アイドル。魔法少女になり隊は私立恵比寿中学の2ndアルバム『金八』収録の「ちちんぷい」を手掛け、それをシングル『BA・BA・BA ばけ~しょん』でセルフカバーしている。こちらも双方に違和感の全くない曲調。Wiennersの玉屋2060%がでんぱ組.incを手掛けるなど10年代に入ってからロックバンドとアイドルグループとの相互交流が進んできたことがその背景にあると言えるだろう。

 というわけで、魔法少女になり隊は、ゲーム、ラウドロック、アニソン、アイドルという様々な日本のポップカルチャーが濁流のように流れ込んだバンド、と位置づけることができる。過剰にもほどがある。

 バンドは11月6日の『KNOT FEST JAPAN 2016』のオープニング・アクトとして出演することが決まっている。はっきり言ってラインナップからは浮いているけれど、逆に言うと「どこに行っても浮いている」ことが彼らの最大の強みとも言えるだろう。最終的には『ROCK IN JAPAN FESTIVAL』と『アニサマ』と『TIF』と『LOUD PARK』、その全てに出演を果たす唯一のバンドになりそうな予感もする。

■柴 那典
1976年神奈川県生まれ。ライター、編集者。音楽ジャーナリスト。出版社ロッキング・オンを経て独立。ブログ「日々の音色とことば:」Twitter

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『KI-RA-RI(初回生産限定盤)』
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『KI-RA-RI(通常盤)』

■リリース情報
『KI-RA-RI』
初回生産限定盤(CD+DVD)¥1,574+税
・“まほうのメダル”が入っているかはCDを開けてのお楽しみ
・「地図のかけら」封入
通常盤(CD ONLY)¥1,204+税

<収録楽曲>
1.KI-RA-RI
2.ハレ晴レユカイ
3.MEGA DASH

<DVD収録内容>※初回生産限定盤のみ
1.魔法少女になり隊 序章
2.冒険の書1
3.狂騒曲ザラキ
4.RE-BI-TE-RO

■ライブスケジュール
10月8日(土)【大阪】MINAMI WHEEL 2016
10月20日(木)【東京】SHELTER 25th Anniversary@下北沢SHELTER w/PAN

■関連リンク
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