MIYAVI、挑戦し続ける理由を語る「自分自身にスリルを感じながら生きていたい」

MIYAVIが挑戦し続ける理由

「僕にとってはチャレンジし続けることは娯楽」

──このアルバムはギタリストが作ったアルバムというよりもいちアーティスト、いちプロデューサーが作った、音楽やメッセージをシンプルに伝えるための作品という気がします。そういう意味では、歌詞もよりシンプルになってきてますよね?

MIYAVI:そうかもしれないですね。喋ってる感じでいい。そうじゃないと響かないし。結局僕たちって指導者、啓蒙する側だったりもして、そういう意味でも難しい言葉を使ったところで届かなければ意味がないので。深い言い回しはいいんだけど、録り方も音の作り方もトラディショナルな方法があるわけじゃないですか。そこに対してのリスペクトはあるんですけど、新しい時代の子供たちにも響く音楽を作るときにはそこに固執している暇はないなと思って。だから全部ぶっ壊してやりたいなと思う。

──なるほど。アーティストとしてはすごく正しいやり方だと思いますよ。

MIYAVI:いやいや。ファンが求めるものを供給するというプロとしての役割を忘れがちになることがあるんですけど、次のステージに連れていくという責任もアーティストにはあると俺は思うんです。それは子供に対しても一緒で、「子供が甘いものを食べたいと言って食べさせてばかりいるのが果たして子供に対していいことかどうか」を考える責任が俺たちにはあるんですよ。甘いものを与えればたくさん集まりますし、聴きやすい音楽を作っていれば喜ぶ人も多いんでしょうけど、それではオーディエンスの人生にとって、ただアーティストの音楽に依存するだけで終わってしまう。僕はそれを良しとしたくないし、自分自身も自分自身にスリルを感じながら生きていたいし、ドキドキ、ワクワクを失わずに生きていたい。なので、こういう新しいことにチャレンジするのは僕の人生にとっても大事だし、僕を応援してくれる人たちにとってもどこか意味のあることであればいいなって思う。それがソロアーティストの醍醐味でもあると思うし、僕にとってはチャレンジし続けること自体がエンターテインメントというか人生の娯楽なんですよね。

「もっとでっかい景色をたくさんの人と共有したい」

MIYAVI「Fire Bird」

──9月には全国ツアー「NEW BEAT, NEW FUTURE」もスタートします。ちょうどアルバム初回限定盤の付属DVDに「Introduction to “NEW BEAT, NEW FUTURE”」と題したスタジオライブ映像が収められていますが、ああいう世界感が期待できるライブになるんでしょうか?

MIYAVI:そうですね。ああいう、フューチャリスティックかつエモーショナルなものにしたいなと思ってます。今回ヴィジュアルに関してはファンタジスタ歌磨呂くん、ビデオのディレクションはモニカ(・バイエルスカイト)という偶然マリブで知り合ったクリエーターがやってくれていて。あと照明やレーザーはYAMACHANGが担当しているんですけど、本当にチームですよね。今まではBOBOくんと2人でどれだけ肉体の限界に挑めるかやってきたけど、そろそろ次に移行しようと。例えばオーディエンスが5万人いたとして、ステージ上でやってる足元のループマシンでの作業に気づいて評価してくれる人はその中で、たぶん5人ぐらいだと思うんです(笑)でも、もうそこじゃないなと。あとの4万9995人は単純に音楽を感じたいんですよね。それを感じさせるためにはどうするかっていう話なんですよ、単純に。

──そういう意味では、今作ではひとつの作品をいかにしてリスナーのもとまで届けるか、その手段としてアートワークや映像などを駆使している。それを大勢の人たちで作っている印象が、今まで以上に強まってる気がしました。

MIYAVI:確かに。でも人に委ねられることのありがたさと同時に、そこに信じられるものがないとそれは無理だし。共有できるマップがないとそれも無理なので、もっとでっかい景色をたくさんの人と共有したい。それはファンに対しても一緒で、どんどん大きくなって同じ景色が見られるようにしていきたいなと思います。

──そこを委ねられる仲間たちというのは、MIYAVIさんと共通点や共有できる何かがあるんでしょうか?

MIYAVI:みんな前しか見ていないところは共通している。あとは、みんな孤高を恐れない。だからチームなんだけど、それぞれは個なんですよ。ただ実際にマップだけは共有できてるから、同じ速度感で進めるし一緒にいられる。BOBOくんにしてもレニーにしても、俺たち別になあなあでやりたいから一緒にやってるわけじゃない。お互いにやっていて刺激を受けて、かつ未来を感じられるからやっているわけです。

──先ほど「もう次を見ている」とおっしゃいましたが、MIYAVIさんが考える次のステップについて、今はどういうものをイメージしていますか?

MIYAVI:それはまだ言えないですね。でもワンワードだけ言うとしたら、「Simplicity」かな。

──その言葉をヒントに、今後の展開を楽しみにしています。その前に、まずはこのアルバムがどう届くかですよね。個人的にはこのアルバムは日本だけじゃなくて、世界中で鳴っていてほしいと思ってます。

MIYAVI:俺もそこしか見てないので。海外という意味では、すでに何曲か英語バージョンとか違うバージョンを録っているので、虎視眈々と準備しています。あと、海外の「Spotify」のいくつかのプレイリストにも『Fire Bird』が入っています。先日たまたま「Spotify」を聴いてたら、突然『Fire Bird』が流れてきて。他の音楽に全然負けてないと思う。もっともっとガチでいきたいなと思ってます。

(取材・文=西廣智一/PHOTO BY MASAYOSHI SUKITA​)

■リリース情報
『Fire Bird』
発売日:8月31日(水)
先着購入特典:「鋤田正義撮影 MIYAVI B2ポスター」
初回限定盤(CD+DVD+特典ブックレット)
価格:¥4,980(税別)
初回限定盤特典
◆ Bonus Track「Cocoon」収録
◆特典ブックレット付(20P)
◆スリーブケース仕様
◆DVD収録内容(15〜20分予定)
・Introduction to “NEW BEAT, NEW FUTURE”「Cocoon」, 「Another World」,「Raise Me Up」,「Fire Bird」,「Steal The Sun」
・「Raise Me Up」Teaser Video
・「Afraid To Be Cool」Music Video (short version)

<CD収録曲>
1.Another World
2.Fire Bird
3.Dim It
4.Raise Me Up
5.You Know It's Love
6.Afraid To Be Cool
7.She Don’t Know How To Dance
8.Steal The Sun
9.Long Nights
10.Hallelujah
11.Cocoon (初回限定盤Bonus Track)

通常盤(CD)
価格:¥3,000(税別)
<CD収録曲>
1.Another World
2.Fire Bird
3.Dim It
4.Raise Me Up
5.You Know It's Love
6.Afraid To Be Cool
7.She Don’t Know How To Dance
8.Steal The Sun
9.Long Nights
10.Hallelujah

iTunes

■ライブ情報
<イベント>
10月20日(木) 名古屋BOTTOM LINE ※coldrain『原点回帰全国ツアー』名古屋公演ゲスト出演

<全国ツアー>
『MIYAVI Japan Tour 2016 “NEW BEAT, NEW FUTURE”』
9月19日(月・祝)札幌PENNY LANE 24
9月21日(水)仙台Rensa
9月22日(木・祝)金沢EIGHT HALL
9月24日(土)松山W Studio RED
9月25日(日)広島CLUB QUATTRO
9月27日(火)熊本B.9 V1
9月29日(木)福岡DRUM LOGOS
10月1日(土)大阪なんばHatch
10月2日(日)名古屋ダイアモンドホール
10月10日(月・祝)東京幕張メッセイベントホール

チケット:各プレイガイドにて発売中

■関連サイト
MIYAVI オフィシャルホームページ
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