“2.5D”というメディアが繋いだ越境的な音楽 主催イベント『GIRLS DON’T CRY vol.3』レポート

『GIRLS DON’T CRY vol.3』レポート

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あっこゴリラ。

 この日最後のトークセッションには、あっこゴリラが単独で登場。彼女は現在の活動状況について「最近までスランプだったけど、『私、スターウォーズを作ればいいんだ!』と思いついて抜け出しました」と語り、その理由について「元々小説家になりたかったから、ストーリーを書いてそこに載せていくのが合ってるんです」と解説。時折観客イジりを交えて笑いを取りながら、「今作っているものは年内に発表できると思うけど、まずは『ドンキーコング』に来てほしい」と、ジャンルレスな出演者が顔を並べる自主企画についてアピールし、トークセッションは幕を閉じた。

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ORESAMA。

 トリを務めたのは、渋谷を拠点に活動する次世代ポップユニット・ORESAMA。まずは、イラストレーターのうとまるが手掛けた絵を使用したカラフルな映像とともに、サポートのDJ モニ子がスケールの大きいビートで会場を一気にダンスフロアへと変えたあと、PONとKOJIMA、そして同じくサポートの夏海ルイ(Ba.)を加えた3人が登場。ドラムレスの4人編成で、まずはMVをフロアに投影しつつ、各作品のリードトラックである「乙女シック」「オオカミハート」から、この日ミュージックカードを先行したばかりの新曲「銀河」を披露。同曲はトークセッションでKOJIMAが「四つ打ちではないものに挑戦した」というように、彼らの新たな可能性を秘めた、ミディアムテンポのナンバー。PONもトークセッションでの宣言通り、すべての観客へ目配せをしながら、基本的にはキュートに、時折艶っぽく熱唱。KOJIMAも代名詞であるクールなカッティング奏法でこれに応える。

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ORESAMA。

 ライブ後半は、90年代のアニソンをアーバンに加工したような「Listen to my heart」、オリエンタルなメロディとPONの跳ねるようなボーカルワークが特徴的な「アイヲシル」を立て続けにパフォーマンスすると、最後はこの日初披露となる新曲「綺麗なものばかり」を演奏。ORESAMAがこれまで打ち出してきたポップなイメージを打破するかのように細やかなトラックと、PONによる切なげな歌詞と緩急の付いたボーカルが印象に残る楽曲だった。

 すべてのパフォーマンスが終わると、アリスムカイデの呼びかけに応えてモニ子とPONが再登場。loundrawの書き上げたイラストを観客に向けて披露し、イベントは終了した。

 各ジャンルの出演者がポップな一面を持ちながら、他との垣根を越えるべく、パフォーマンスやトークを繰り広げた今回のイベント。これらのアーティストを繋ぎ合わせた2.5Dという一つのメディアが持つ力を改めて知らしめられた一夜だった。

(取材・文=中村拓海/写真=谷浦龍一)

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<セットリスト>

■仮谷せいら
1.Hopper
2.ニコイチ
3.大人になる前に
4.フロアの隅で
5.Walk This Way
6.MYC
7.Nobi Nobi No Style

■CICADA
1.intro
2.No border
3.Colorful
4.stand alone
5.Bomb tracc
6.アウトライン
7.閃光
8.YES

■あっこゴリラ
1.ゴリラ夫妻
2.TOKYO BANANA
3.KAMIKAZE
4.ゴリラの生態
5.ハゲ
6.ビューティフル・ウーマン

■H△G
1.星見る頃を過ぎても
2.セブンティーン
3.△(ティアドロップ)
4.キズナ
5.カラフル

■ORESAMA
1.KARAKURI
2.乙女シック
3.オオカミハート
4.銀河
5.Listen to my heart
6.アイヲシル
7.綺麗なものばかり

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