鈴木このみが語る、アニソンを歌う醍醐味と自身のルーツ「自分の中の可能性を広げられている」

鈴木このみが語る、アニソンを歌う醍醐味

「アニメに出会えて本当に良かった」

ーー小さい頃は泣き虫なうえに人見知りで、それを克服するためにダンスを始めたんですよね。

鈴木:そうなんです。幼稚園に入りたての頃は、泣き虫のレベルがすごくて(笑)、何を見ても泣くので、鍼治療にまで連れて行かれるくらいだったんですよ。それでも治らなくて、体を動かしてストレス発散させるのがいいんじゃないかと母が考えてくれて、それでダンスの体験レッスンに行ったんです。そこで演技も習いました。

ーー泣き虫で人見知りだった鈴木さんにとって、ダンススクールに通うのは嫌ではなかった?

鈴木:鍼治療までやっても治らなかった人見知りや泣き癖が、ダンスを始めたら治ったらしいんですよ。それ以降は、極度の泣き虫にはならなくなったそうです。まだ物心がつくかつかないかくらいの時期なので、あまりよく覚えていないのですが。たぶん、ダンスが嫌だったらやめていたと思うんですよね。楽しくやってたんだと思います。

ーー確かにそうですね。

鈴木:ただ、母から聞いた話によると、私は運動神経がなくて振り付けもなかなか覚えられなかったらしくて。レッスン後は家にビデオを持ち帰り、母がまず振り付けを覚えて、それを見ながら私が踊っていたんですね。そういうのを毎週やってもらっていました。

ーーいいお母さんですね。ダンスや演技を習ったことは、今の歌にも生きていますか?

鈴木:今も歌いながら踊ったりするし、ミュージカルに出演した経験は特に生きていると思います。キャラクターの気持ちを想像しながら、自分の気持ちとリンクさせて歌ったりすることは、アニソンも同じようなところがあると思います。

ーーMVの動きにも、非常にキレがあるのはダンスの影響ですかね?

鈴木:ありがとうございます(笑)。そうですね。ミュージカルも結構ダンスが必要で。それでダンスも続けていたので、ダンスボーカルにも対応できるようにっていうことで、走りながら歌っても声がブレないようにする練習などをしていました。そういうのが生きているんじゃないかなって思います。

ーーアニソンを好きになったキッカケは、『マクロスF』だったんですよね?

鈴木:はい。中学二年生の時に、隣の席のアニメの詳しい子から「アニメ、絶対に面白いから観てみて!」って強く勧められて、最初に教えてもらったのが『マクロスF』だったんです。家に帰ってすぐに観たら、ほんっとうに面白くて。二次元にしかできないようなライブシーンに釘付けになったんですよね。『あ、アニメってこんなにかっこいいんだ!』と感動したのが、最初のキッカケです。そこからどんどんアニメにはまっていきました。

ーー中学生活も一変したのでは?

鈴木:はい。ちょうどそのとき、自分の中でも色々なことがモヤモヤしていた時期だったんですよ。特に嫌なことがあったわけでもないんですけど、毎日が何となく退屈で。そのときに『マクロスF』を観て好きになって、それがキッカケでアニメ好きのクラスメートとの話がどんどん広がっていって。毎日がすごく楽しくなりました。夏休みなんて、もう1日中見ていました。ちょっと仮眠とってまた見て、みたいな(笑)。アニメに出会えて本当に良かったと思いますね。

ーー自分でもアニソンを歌おうと思ったのは?

鈴木:それまでJ-POPばかり歌っていたんですけど、『マクロス』をキッカケにアニソンばっかり歌うようになって(笑)。友達とカラオケへ行っても、アニソンばっかり歌っていました。アニソンって耳に残るので、歌いたくなるんですよ。しかもアニメ好き同士でカラオケへ行くと、1曲ごとにそのアニメの話で盛り上がったりして。

ーー楽しそうですね。影響受けたアニソンシンガーは?

鈴木:May'nさんですね。初めてライブを見たのがMay'nさんで、シェリル・ノーム(『マクロスF』の登場人物)の歌を、生で聞けたというのがとにかく嬉しかったし、ライブであんなに動き回って、全く歌声がブレないってどういうことなんだろう?って感動しました。あと、すごく印象的だったのが、ライブが終わったあとにMay'nさんが、一人ひとりに声をかけるような感じで、本当に丁寧に「ありがとう」って届けていたんです。歌はかっこ良いし、人柄は温かいし……。私もMay'nさんのようなアーティストになりたいなって思いました。

ーー2011年、アニマックス主催の第5回『全日本アニソングランプリ』で、10,223組という過去最大の応募総数の中から見事グランプリを獲得し、注目を集めました。

鈴木:まさか自分が優勝できるとは思っていなくて。最初は全然実感できなかったですね。実は、その前の年にも『アニソングランプリ』に応募していて。予選にも行かず書類で落ちちゃったんです。当時はまだアニメに詳しくなくて、ゲームやマンガを多少楽しむくらいの状態だったので、それが見透かされたんじゃないかと、今になっては思いますね。当然の結果だったな、と。で、その直後くらいにアニメを好きになって、それでどんどんハマってもう一度チャレンジしたら、グランプリになったので嬉しかったです。

ーー気合の入り方が、これまでとは全然違ったのでしょうね。

鈴木:自分でもそう思います。書類の時点から『マクロスF』の歌を絶対に歌う!って決めていましたし。

ーー「好き」のパワーってすごいですね!

鈴木:はい。伝わってしまうと思います。

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「インタビュー」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる