スチャダラパーが語る、ポップな新作『あにしんぼう』の全貌「キテるな~このおっさんたち(笑)」

スチャダラパーが考える、ライブセットの違い

よさGなスキャット

――今作の中ではメロディアスなタイプの曲ですね。

Bose:ヒップホップらしいガツガツした曲が多かったから、メロディアスな曲が欲しかった時に、シンコがこのトラックを作ってきて。それでこの雰囲気にスキャットを絡ませるのは面白いかなと。

SHINCO:でも、このトラックに「夜明けのスキャット的」なイメージを挟み込んで込んで来るのはちょっと意外でもあって。

Bose:アニがドラマ『大都会 闘いの日々』にハマってたんだよね。ずっと『大都会』のことばっかり言ってて。

ANI:『大都会』は内容が最高なんだよ。2はアクションが強いけど、1は人間ドラマだから。

Bose:知らんがな。

ANI:舞台も渋谷が多いし。

Bose:だから知らんがな。

ANI:いま二周目観てて。

Bose&SHINCO「怖いな~」

Bose:そんなのもあり、構成を考えてたら、刑事ドラマのエンディング的な雰囲気で、スキャットが浮かんできて。

ANI:内容も『よさ気』なことしか言ってない。

Bose:ふわふわしてるけど、さもありなんみたいなことばっかり。

SHINCO「『WIN-WINの』とか、良いこと言ってる風だけど、実は超ぼんやりしてるっていうね。

ANI:暗示しかしてない。というか『WIN-WIN』って言いたいだけ(笑)。

再見Adios

Bose:これは『男子!レッツラゴン』のエンディング曲で。『レッツラゴン』のいろんな事柄を引用したり組み込んだりしながら、それをズラしていく面白さ、みたいな部分がスゴく興味深かったんだよね。だから、その感覚を曲としてもやってみたのがこの曲の構成で。しかも、引っ張ってきながら、それをみんな呼び捨てにするっていう(笑)。

――「Under The Sun」の逆ですね。

Bose:引用する歌詞や内容も、『ザ・ベストテン』で常に上位だった曲みたいな、ぱっと浮かんでくる歌詞にして。だから、分かる人にはすぐ引用元とイメージが浮かぶと思う。ただ、その引用が誰の何を指してるかがすぐに分かる人じゃないと「??」って感じで、それらしき内容になっちゃうかもとは思うんだよね。

――確かに、10代20代は<グッバイさよなら再見Adios>というフレーズも、何からの引用なのかわからないかもしれないですね。

Bose:実際、うちの奥さんもその曲を知らなかったんだよね。だけど、それはそれでまた新しい曲として聴こえるみたいだし、新鮮に受け取って貰えればなって。

――それは建設的ですよね。

SHINCO:たとえばBIZ MARKIEの「Nobody Beats The Biz」が、向こうの電気屋の曲のパロディだって知ったのは、結構後だったもんね。

Bose:「え、この曲って『まあるい緑の……』みたいなもんだったの!?」ってね。ヒップホップってそういう部分があったよね。普通に聴いてたけど、後々になって、この曲の元ネタはこれなんだ、こういう引用の仕方をしてるんだとか気づくことが多かったし、それが面白さでもあったりして。

――初回盤に同梱のDVD『KGGDVD』は、昨年末に行なったワンマン『暮れの元気なご挨拶:の恵比寿リキッドルームでのライブ映像と、「中庸平凡パンチ」のMVを収録、そして会場限定リリースの『Low-Cost High-Performance』は、バンド:ザ・コスト・パフォーマンスとのセッション盤です。スチャの大規模ライブは、バンドとの組み合わせがメインになっていますよね。

Bose:とにかく、バンドでやることが楽しいんだよね。全然違うアレンジで展開させたり、元の曲をバンドとしてなぞったり、色んな方向性で展開出来るし、新しいアプローチでライブをできるのが、スゴく面白くて。

――バンド録音自体、スチャは珍しいですよね。

Bose:そうだよね。しかも、もうライブでずっとやっていて、熟れてる曲をRECすることも珍しいし、バンドの演奏と一緒に一発で録るっていう、ライブ録音に近い作り方も面白かった。バンド・メンバーのスケジュールもあるから、地方やツアーで廻るのはちょっと難しくて、バンド・セッションを見てもらう機会は限られがちだから、それが盤として、映像としてリリースできるのは嬉しいよね。

SHINCO:逆に、メンバーがよく揃う東京だと、ターンテーブル・セットの方が珍しくなってきて。

Bose:ワハハ本舗みたいな状況だよね。営業は『青い部屋』と『平成モンド兄弟』みたいなミニマムで、東京は大規模公演っていう(笑)。

――バンドとのセッションはどのように構築するんですか?

Bose:ベースのハナちゃん(笹沼位吉)が持ってきたアイディアだったり、シンコのプロデュースだったり、キーボードのマッツ(松田浩二)がアレンジやバランスを話して構成していく感じかな。

SHINCO:やっててホントに面白いよ。理想のバンドを一緒に模索できる感じもあって。そしてメンバーの絶妙な前に出なさ(笑)。

Bose:余計なことしないっていう。全員がミルク・フランスみたいなちょうど良い存在感と味わい(笑)。

SHINCO:ちゃんとラップを立たせてくれる演奏をしてくれるし、そのバランス感も絶妙だなって。

――そして、4月17日には『LB春まつり』が行なわれますね(※インタビューは公演前に行なった)。

ANI:去年のどこかで、『来年<大LB夏まつり>から20周年じゃないですか!』って誰かに言われたんだよね。

SHINCO:絶対MU-STARSの藤原大輔とかでしょ、そんなこと言うの(笑)。

ANI:で、20周年だからやっといた方が良いのかなみたいな。逆に20周年ぐらいでもないとやらない感じだよね。

Bose:ホントに友達が集まる理由でしかない。

SHINCO:LBメンバーの生存確認として(笑)。

Bose:『し、死んでる!』とか(笑)。しかし、どんな感じになるのかね。TOKYO NO.1 SOUL SETやかせきさいだぁは、今でもライブをやってるから大丈夫だと思うけど、脱線3とかどうなるかね。

ANI:まあ、みんなでワチャワチャやってもらいつつ。

Bose:それから「Little Bird Strut」とか、LB曲をどうしようかなと。

ANI:ラップ覚えないと(笑)。

Bose:過去曲も浚っとかないとね。

ANI:それもそうだけど、新曲も覚えられない(笑)。

SHINCO:……それを新曲のリリースインタビューで言うかね、普通(笑)。

Bose:昔のも覚えてないし、じゃあ、何を覚えてるんだっていう(笑)。新曲もバンド・アレンジでやろうと思うんで、期待しといて下さい。

 そして開催された『スチャダラ2016 ~LB春まつり〜~』は、スチャダラパーやTOKYO NO.1 SOUL SET、かせきさいだぁに加え、脱線3、四街道ネイチャー、キミドリ、そしてTONEPAYS、The CartoonsなどなどまさにLBネイションが大結集。ニューカマー的に登場したサ上とロ吉、SEX山口と共に、和気藹々とした空気感はまさにLB! なハッピーすぎるライブを展開した。30周年にも期待してます!

(取材・文=高木“JET”晋一郎)

■リリース情報
スチャダラパー『あにしんぼう』
発売:4月20日(水)
価格:
初回限定盤 CD+DVD ¥2,200+税(KGGDVD(Live&MV)30min)
通常盤 CD ¥1,600+税
<収録曲>
1.アニがボーズでシンコがアニで
2.レッツロックオン
3.ドキメキニシス
4.ジャンクリートコングル feat. ロボ宙
5.よさGなスキャット
6.再見 Adios

<DVD収録内容>
-2015.12.13.TOKYO EBISU LIQUIDROOM ワンマンライブ「暮れの元気なご挨拶」より-
1.CHECK THE WORD
2.A.K.A. ETC
3.5W1H
4.ライツカメラアクション
5.ザ・ベスト
6.ジャンクリートコングル(Special Edit)
Bonus Music Video 中庸平凡パンチ

オフィシャル HP

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