GOODWARP『FOCUS』リリース特別企画
渡辺俊美×GOODWARPが語り合う、世代を超えた音楽観「心地よいダンスミュージックは“抜き”の世界」
「鳴っているだけで気持ちよかったらいい」(渡辺)
――レコーディングはどのように進めていらっしゃるのでしょう。
渡辺:僕ら25年一緒にやってきましたが、レコーディングは今でも面白いです。
吉崎:議論になることはあるんですか?
渡辺:全く無いですね。レコーディングのときにはすでに形が出来上がっているということもあるし、結構レコーディングのタイミングもバラバラなんですよ。1人でやったり、(川辺)ヒロシくん(TOKYO No.1 SOUL SET/DJ、トラック・メイキング担当)とやったりするんですけど。ダメだとテイクが次の日には消されていて。後で「あぁーダメだったのね!」みたいな。
藤田:「誰だこれ消したやつ!」ってならないんですか?!
渡辺:ならないならない。
有安:すげぇー……。
藤田:いやーすごいっすね。
吉崎:合格したフレーズだけ残るんですね。
渡辺:そこもね、面白いんですよ。
吉崎:長くやってきた中でそういうスタイルになったんですか?
渡辺:結構最初の頃からこういう感じでしたかね。
――GOODWARPのみなさんの進め方はいかがですか。
吉崎:僕らは真逆ですね。議論して……。
有安:掴み合い(笑)。
吉崎:暴力沙汰にはならないですけど、言葉の暴力を浴びせられながらやるような感じですかね。今回のアルバムはギターの朋生の親戚の家を借りて、閉じこもってアレンジを考えてたんです。昼夜にわたって4人で真剣な顔してやってるんですけど、僕達の中で2人寝たらおしまいにしようってルールがあって。3人生き残ってるうちは続行です。
藤田:パソコン広げて、ギター入れたりシンセ入れたりして。どうしてもリハーサルスタジオを借りると、時間もお金もかかってしまうので。
渡辺:すごいね。なんか映画の『SAW』みたい。
一同:はははははは。
渡辺:そもそもGOODWARPってメンバー募集で出会ったんだってね。
吉崎:そうなんです。出会ってからは早かったですね。僕とベースのチャーは元々別のバンドをやっていたので、知り合いではありました。2人でバンドをやり直そうとした時、はじめに見つかったのがギターの朋生で。僕はエアロスミスが青春だったんですけど、彼のメールアドレスがエアロスミスの曲名で、それで仲良くなったんです。第一印象は髪の毛が長くて、サイケデリックなシャツ着てブルースが好きです、とか言うから「こいつちょっと違うかもしれない」って思ってましたけど。
チャー:あれ、ちょっと思ったよね(笑)。
藤田:……そうだったの? 知らなかった(笑)。
渡辺:でも、ブルースのルーツ知ってたら大丈夫でしょ。(エリック・)クラプトンだってブルースだし。
藤田:ありがとうございます。大好きっすね。ああいうの。
渡辺:結局ブルースってワンコード、ツーコードの勝負だから。俺らもそうなんだけど、スリーコード以上って無いからね。ダンスミュージックもそうなんだけど、ループなんだよ。鳴っているだけで気持ちよかったらいいと思う。ボーカル、ラップは更なる“上モノ”って感覚でやる感じかな。ジャズとかのインストが今でも好きでさ。あれもループだし、もうループに始まりループに終わる感じ? そういった感覚はGOODWARPのみなさんと共通するものがあるかもしれないです。120だったら120のループを違うBPMで全曲作って繋げていくというのもいいですよね。
藤田:それ面白いですね! 今度ぜひ試してみます!
渡辺:120の中でもいろんなビートあるから。それで曲も変わってくるよね。でも何かしらの線、例えばダンスだったらダンス、ロックだったらロック、エアロスミスだったらエアロスミスって決めた方がいいかもね。
吉崎:結果エアロスミスで終わっちゃった(笑)。