back numberはなぜ絶大な支持を獲得した? チャートアクションと楽曲群から背景を読む

 音楽性は全然違うけれど、今週7位の星野源も「地味なまま」「曲の良さだけで」見事支持されるようになったアーティストのひとり。4thアルバム『YELLOW DANCER』は、初登場1位(13.2万枚)→先週5位(2.4万枚)→今週7位(1.3万枚)と累計17万枚に近いセールスを記録している。これは男性ソロアーティストとしては今年首位となる記録。話題のスターとか売れっ子アイドルではなく、あの星野源(『あの』の中には、あのSAKEROCKの、あの大人計画の、などなど人それぞれの単語が入るのでしょう)が、それをやってのけたという事実も、間違いなく2015年の大トピックであると思う。

 また、以上のような今年のアーティストを除けば、大物のオールタイム・ベストがいくつかランクインしているのも年末らしい今週チャートの特徴。5位・松田聖子、9位・オフコースに挟まれる形で、8位にはglobeのカバーベストが登場している。HYDEや浜崎あゆみ、木村カエラやNMB48の梅田彩佳などが参加しており、その幅の広さからも、いよいよglobeが時代を超えるスタンダード・ポップスになったという印象を受ける。TKの曲なら何でもかんでもミリオンだった90年代後半の過剰なブームと、そのあと栄枯盛衰を目の当たりにして「TK好きって口に出しにくい」雰囲気があった00年代。それを超えて、ようやく今、みんなが「globeってなんて普遍的!」と言えるようになった。もしかすると、これも2015年らしいトピックなのかもしれない。

■石井恵梨子
1977年石川県生まれ。投稿をきっかけに、97年より音楽雑誌に執筆活動を開始。パンク/ラウドロックを好む傍ら、ヒットチャート観察も趣味。現在「音楽と人」「SPA!」などに寄稿。

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