back numberはなぜ絶大な支持を獲得した? チャートアクションと楽曲群から背景を読む

参考:2015年12月14日~2015年12月20日(2015年12月28日付)(ORICON STYLE)

 先月末に放送された『ミュージックステーション』には「2015年を象徴するアーティストは誰だ?」という特集があり、セカオワやゲス極、三代目JSBに嵐などの名前が次々とランクインしてくる内容にふむふむ納得。しかし期待の1位は……福山雅治! ずっこけました。ましゃ結婚しただけじゃん! もっとさぁ、アーティストとしての存在感を、その音楽を語りましょうよ。そんな前フリからの今週のアルバムチャートです。

 冒頭の『Mステ』内「2015年の象徴」チャートでは、10位にランクインしていたback number。しかしアルバム『シャンデリア』は2週連続の1位、先週の初動17.3万枚に加えて今週5.3万枚なので累計22.6万枚のセールスを記録している。デビュー4年目にしては見事な数字。そして、こういうスタンスのバンドが再び大衆に支持され始めたというのも、今年を象徴する話題のひとつだろう。

 back numberにおける「こういうスタンス」とは何か。ものすごく失礼ながら、平たくいうと「地味」の二文字である。ロックバンドが普段着+眼鏡=冴えない兄ちゃんというイメージになっていったのは00年代、そのまま本当に冴えないジャンルとなり力を失っていったのは2010年以降。もちろん反動としての若手バンドは各方面から出てきた。その好例がONE OK ROCKであり、SEKAI NO OWARIであり、ゲスの極み乙女。たち。そして彼らの強烈な個性、バンドの魅せ方を自らプロデュースしていく行動力に比べてみれば、back numberはとんでもなく地味である。ドラマティックなメロディに乗せて、真正面から恋愛(というか、主に失恋)を歌い上げる清水依与吏のスタイルは、良くいえばミスチルを踏襲する「衒いのない王道」、悪くいえば「2015年の今、そんなバンドって需要ある?」という感じ。だがしかし、地味なまま、人とは違う個性などアピールしないまま、ただ楽曲の良さだけでback numberは絶大な支持を得た。いまや22万枚を売り上げるバンドに成長したのだ。この事実は2015年の大きなトピックになると思う。

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