DISORDERとCHAOS U.Kーー伝説的ノイズコア・バンドの来日公演をISHIYAが徹底考察

ISHIYAがノイズコアについて考察

 1985年に初来日を果たしたCHAOS U.Kは、そのライブパフォーマンスで日本中のパンクス達の度肝を抜き、一気に日本でのファンを増やした。それまで日本では、DISCHARGEの来日中止があり、CHAOS U.K来日の少し前にGBHが初来日を果たしたのみで、本場のハードコア・パンク・バンドを身近に感じることが出来なかった。

 90年代に入り、DISORDERもついに初来日を果たすが、彼らはCHAOS U.Kと同じブリストル出身のノイズコア・バンドでありながらも、全く違ったタイプのバンドだった。初来日から今回の来日に至るまでの両バンドを比較すると、如実にカラーの違いが現れている。

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川崎クラブチッタ「KAPPUNK」でのDISORDER。左:ベースのタフ。右:ギターのアレックス。(撮影:菊池茂夫)

 筆者は両バンド共に大好きなのだが、「CHAOS U.Kは好きだけど、DISORDERはダメだ」という声もよく耳にする。おそらくDISORDERの全面に渡る“クズっぷり”が、ひとによっては受け入れがたいのだろう。

 DISORDERのハチャメチャさはサウンド面でも現れていて、世界中にある音楽の中でも群を抜いている。ヘタクソでノイジーでグチャグチャで、一般の音楽好きには到底受け入れることの出来ないサウンドだ。人間性もかなり大雑把で、初来日のときにはギターのSTEVEがライブ中に抜け出し、近くの酒屋までビールを買いに行く始末だった。中心人物であり唯一のオリジナルメンバーであるTAFに、イギリスで日本のハードコア・バンドをブッキングしてくれるよう頼んだものの、当日行ってみたらライブそのものがなかった、ということもある。度を越した適当さこそが、彼等の特徴でもあるのだ。

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川崎クラブチッタ「KAPPUNK」。DISORDERはメイン会場のサブステージでの演奏。(撮影:菊池茂夫)

 その“クズっぷり”は今回の来日でも現れていて、楽器はおろか、ピック、シールド、ストラップすら持って来ない。そして演奏もグダグダのクズだったのだが、これぞまさにDISORDERといったライブで、ファンの期待を裏切らなかった。DISORDERのファンは、かなり楽しめたことは間違いない。事実、筆者はかなり面白かったし、変わらぬ態度に感激し、安心もした。泥酔してラリったパンクスが、ゲロまみれになりながら、グチャグチャの演奏で踊りまくるのが、DISORDERのライブの醍醐味ではなかろうか。

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