浅野忠信はなぜバンド活動を続けるのか「音楽を通じて自分の気持ちを変えたい」

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浅野忠信

 浅野忠信が率いるバンド・SODA!が6月24日に2ndアルバム『SKYBLUES!』をリリースした。2014年にリリースされた18曲入りの1stアルバム『抱きしめたい!』に続く本作は、CD収録の14曲に加え、8曲のダウンロード音源が特典として付属するボリューミーな1枚で、ファンクを軸としたダンサブルでポジティブなナンバーがぎっしりと詰まっている。俳優として第一線で活躍しながらも、古くからハードコアパンクシーンと深い繋がりを持ち、これまで数々のバンドで音楽活動を継続してきた浅野忠信にとって、SODA!としてリリースした同アルバムはどのような作品なのか。バンド結成のいきさつから表現へのこだわり、さらには10代の頃から抱き続けている音楽愛や、俳優業と音楽活動を両立する意義まで、じっくりと語ってもらった。聞き手は、古くから交流があるハードコアバンド・FORWARDのISHIYA氏。(編集部)

「ファンクとパンクに同じ力を感じていた」

ーー浅野君はSODA!以外にも、PEACE PILLとSAFARIとRと、4つのバンドをやっているよね。

浅野:PEACE PILLは高校生のころからやっていて、その後にSAFARIを始めたのですが、SAFARIのベーシストが実はSODA!のギタリストなんです。そいつと僕は昔からずっとファンクが好きだったんですよ。僕は小さい頃から母親にジェームス・ブラウンなどをずっと聞かされていて、ファンクとパンクに同じ力を感じていたんです。SAFARIはパンクロックが好きで始めたバンドだったんですけど、ファンクにもポジティブなエネルギーを感じていて、是非やりたいねってことになって組んだのがSODA!で、実はだいぶ前からあったんです。SAFARIは1999年くらいからやっていて、それから5~6年くらいは経って組んだ感じですね。当時はまだ曲もなかったので、スタジオに入ってセッションをして探っていく感じでした。ちなみにベースは、SAFARIのドラマーが弾いていて、ドラムは、SAFARIとよく一緒にツアーをまわっていたCOKEHEAD HIPSTERSというバンドのドラムですね。

ーー 4分の3がSAFARIのメンバーなんだね。SODA!っていうバンド名の由来は?

浅野:SAFARIのメンバーと3人くらいで集まったときに「簡単にわかりやすく弾けた何かが欲しい」というところで、SODA!っていう名前はとてもポップで弾けた感じでいいんじゃないかな、と思って名付けました。

ーーSODA!のサウンドはどんなことを意識して作っているのかな。

浅野:最初はファンク・ダンスミュージック的なところで考えていたんですけど、SAFARIを続けながらRを始めて、その間にも個人的にテクノ方面で曲を作ってライブもしていたんです。全部の音楽活動を続けながら、その間に映画の撮影であっちこっち行くんですけど、そのときに空き時間も結構あるので曲作りに専念できるんですよ。そうやってテクノ、PEACE PILL、SAFARI、Rとやって行く中で、自分のスタイルが見えてきたときがあったんです。「自分は音楽のどういうところに魅力を感じてるんだろう?」と考えたときに、映画の撮影でアメリカのニューオーリンズに行ったんですが、そのときに街中でリアルライフで音楽をやってる人達で溢れていて「音楽って自分の中で必要とする日常なんだな」っていうのをすごく感じました。そこで「ループする曲が自分の中でしっくりくる」ってことに気付いたんです。そこに行き着いてからは、これはすべてに取り入れるしかないと思って、そこから曲作りがガラッと変わってフレーズの繰り返しになっていきました。スタジオでみんなで作っている曲もあるんですけど、基本的なフレーズはほぼ僕が作って、歌詞も書いています。

ーー今回の作品の中でいちばん思い入れがあるのはどの曲?

浅野:もちろん全曲にそれぞれ思いが込もっていて、1曲1曲をひも解いていったらキリがないんですけど、最後の「ポケット!」っていう曲は、1番最後に持ってきただけあって特に気に入っています。シンプルでなんでもない曲なんですけど、歌詞を読んでもらえれば、ヒントとなるものが詰まっているかなと思っているんです。ポケットの中に夢を詰め込んでーーといった歌詞はよくありますが、そういう言葉は今でも僕の中で引っかかるんですね。小さい頃にはポケットの中に小銭もミニカーも含め、すべてを詰め込んでいて、あれが毎日を支えていたわけで。「うう、ヤバい。カツアゲされる」っていうときも、小銭は出してもミニカーは出さないみたいな。そういう思いが詰まっていて、自分を支えてくれていた大切な存在がポケットだったというところで、この曲が好きですね。

ーー「俺はブルースなんか!」という曲では、「悲しい気分なんか打ち明けたくない」って歌っているよね。

浅野:1stアルバムの『抱きしめたい!』を作ったときに、どうしても自分の不満を歌っているところがあったり、聞きようによってはネガティブに聞こえてしまうときがあったんですよ。でも、それはやっぱり違うんじゃないかと。本当に何かを変えたいときに憎しみからは何も生まれないと感じていたので、SODA!の中ではできる限りネガティブな発言は排除したいんですね。SODA!では、歌って踊ってお祭り的に楽しい時間を提供したくて、歌詞でもそういう表現をしています。

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