ISHIYAがCRASSの映像コラージュ集を分析
CRASS映像コラージュ集が伝える、伝説のパンク・バンドからの生々しいメッセージ
世界中のパンクス、特にハードコア・パンクスたちに多大な影響を与えたバンド・CRASSの映像作品『CRASS:SEMI-DETACHED VIDEO COLLAGES 1978-84』が、世界で初めてDVD化され、10月21日にキュリオスコープから発売された。
前回発売された『ゼア・イズ・ノー・オーソリティ・バット・ユアセルフ』は、過去から現在に至るCRASSの実際の活動や、メンバーの証言などを交えたドキュメンタリー作品だったが、今回はCRASSの楽曲に合わせて、アートワーク担当のメンバーであるジー・バウチャーが映像を重ねて編集した、全6曲の映像コラージュ作品集になっている。
CRASSというバンドのスタイルは、“アナーコ・パンク”などと表現されることが多いが、現在のハードコア・パンクスの礎となった世界初のバンドであることは間違いない。そのメッセージは反戦・反核・動物愛護で一貫されており、メンバー全員がダイアルハウスという農業の営める土地付き住宅で、自給自足の共同生活を実践していた集団である。(参考:伝説のパンクバンド・CRASSが放つメッセージとは?最新ドキュメンタリーで明かされる素顔)
その実生活に裏付けされたメッセージもさることながら、ジー・バウチャーのコラージュも、CRASSのメッセージを伝えるツールとして非常に大きな役割を果たしていた。活動中にリリースされたレコードは、ポスタージャケット仕様のものがほとんどで、そのジャケットやインナーのポスターを見るだけで、CRASSのメッセージが視覚的に理解できる素晴らしいアートワークだった。そのジャケットやポスターを手がけていたジー・バウチャーのコラージュが、動画作品となっている本作は、白黒テレビから直接撮影した映像を多用しており、リアリティや臨場感を増すように作られている。