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英ブリストル出身のディスオーダーは、いわゆるハードコア・パンクのムーヴメントから生まれてきたバンドである。エクスプロイテッドやディスチャージらを嚆矢とするこの動きは、パンクがソフト化/ポップ化し、またサウンドの幅を広げていく過程がニュー・ウェイヴだったとすれば、よりハードに、ヘヴィに向かう流れだった。パンクのサウンドをより速く、より重く、よりうるさく、より汚くしていくことで、パンクの核、つまり「破壊の機能性」を極限まで追求していったのである。その頂点にいたのはディスチャージだが、ディスオーダー、カオスUK、フラックス・オブ・ピンク・インディアンズといったバンドは、ディスチャージの『WHY』や『HEAR NOTHING SEE NOTHING SAY NOTHING』といった作品でピークを極めたと思われたハードコア・パンクの、そのさらに先を行くサウンドで、衝撃を与えたのである。ハード、ファスト、ヘヴィ&ラウドが過ぎて、ほとんどグシャグシャのノイズ音塊となってしまった音は、「ノイズ・コア」と呼ばれ、その後スラッシュ・メタル〜グラインド・コア〜デス・メタルという流れへの重大な端緒となる。また音楽としての整合性を重視するのではなく、またディスチャージのようなポリティカルなメッセージを叫ぶのでもなく、むしろ言語化できないような衝動とフラストレーションを破滅を厭わないほどに激しく混沌としたサウンドに叩き込んだ演奏は、たとえばボアダムスの山塚アイのようなアーティストの輩出を促したと言えるだろう。
初期のディスオーダーがもたらした衝撃は計り知れない。初期の数枚のシングルとミニ・アルバム『PERDITION』はその航跡だ。だがそんなテンションをいつまでも維持できるはずもなく、彼らはやがてシーンの一線から遠ざかっていく。現在もバンドは存続中だが、もちろん往時の面影はない。 (小野島 大)