DISORDERとCHAOS U.Kーー伝説的ノイズコア・バンドの来日公演をISHIYAが徹底考察

ISHIYAがノイズコアについて考察

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CHAOS U.K JAPAN TOUR FINAL 渋谷eggman。

 一方CHAOS U.Kは、初来日ライブの衝撃により、日本のハードコアの中心で活動していたバンドに多大な影響を与え、それを期にブリストルと日本のハードコアの交流が始まった。その後、4度の来日を果たし、今回5度目の来日となったが、中心人物であるギターのGABBAは別バンドのFUKでも何度か来日しており、個人的にも来日するなど、日本全国に友人がたくさんいる日本通でもある。

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超満員の会場はかなりの盛り上がりを見せた。

 2度目と3度目の来日では、オリジナルメンバーであるCHAOSがボーカルをとり、パンク・ロック的要素も取り入れた独自のCHAOS U.Kサウンドで、いわゆるノイズコアとは一線を画していたが、初来日時のボーカルMOWERが4度目の来日から復活し、今回の来日では初来日時を上回るほどの完成された演奏とステージパフォーマンスを披露し、日本全国のパンクスにその存在を刻み込んでいった。選曲や曲順も素晴らしく、MCや曲間がなく一気に疾走するライブは圧巻そのもの。往年のファンを唸らせ、新しいパンクスを虜にしたことは間違いないだろう。

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アンコールでのCHAOS U.K。その日プレゼントされた革ジャンを来てアンコールに応えるボーカルのMOWER.。

 当初、今年この2バンドは一緒に来日する計画があったが、CHAOS U.Kの事情により来日時期がずれてしまった。もし一緒に来日していたらと思うと残念でならない。日本にひとつの歴史が刻まれるほどの凄まじいライブが行われたであろうことは容易に想像できる。それほどブリストル出身のこの2バンドは、ハードコア・パンクスの中では特別なバンドなのである。

 以前CHAOS U.KのギタリストであるGABBAは「AMEBIXがいたからこそCHAOS U.Kがあるんだ」というようなことを言っていた。この2バンドがあるのは、ブリストルの兄貴格バンドであるAMEBIXがいたからに他ならない。そして、AMEBIX、DISORDER、CHAOS U.Kの3バンド共に現在も活動し、独自のサウンドを世界に発信し続けている。だからこそ、まだ見ぬAMEBIXの来日も望まずにはいられない。いつの日か、AMEBIX、DISORDER、CHAOS U.Kというラインアップのライブを日本で観たいというのは、パンクスとしてあまりにも贅沢な夢なのだろうか。

■ISHIYA
アンダーグラウンドシーンやカウンターカルチャーに精通し、バンド活動歴30年の経験を活かした執筆を寄稿。1987年よりBANDのツアーで日本国内を廻り続け、2004年以降はツアーの拠点を海外に移行し、アメリカ、オーストラリアツアーを行っている。今後は東南アジア、ヨーロッパでもツアー予定。音楽の他に映画、不動産も手がけるフリーライター。
FORWARD VOCALIST ex.DEATH SIDE VOCALIST

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