BiS解散から1年、元メンバーたちの「今」は? 宗像明将が徹底追跡レポート

コショージメグミ

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Maison book girl『white』

 現在は、サクライケンタがプロデュースするMaison book girl(メゾンブックガール)で活動するコショージメグミだが、ソロでのライブ、女優活動、大森靖子のサポート(?)などもしてきた。

 2014年7月20日に新宿LOFTで開催された『ekoms presents NO ROOM FOR SQUARES!! Vol.3』では、サクライケンタとコショージメグミによる挨拶があった。それによると、コショージメグミからサクライケンタに話を持っていったのだという。

 2014年7月25日には『FUJI ROCK FESTIVAL '14』の大森靖子のステージに、いきなりコショージメグミが登場。その間に大森靖子が炊飯器のご飯を観客に配ったライブが話題になった。

 2014年9月11日には、大森靖子の「私は面白い絶対面白いたぶん」のMVが公開された。大森靖子ではなくコショージメグミがずっと画面に映っている。

 2014年9月には、コショージメグミは何回かのソロ・ライブを行っている。2014年9月20日の『りんくうにぎわいフェスタ2014』で、サクライケンタによる美しい音楽をバックにしながらポエトリー・リーディングをし、泣きはじめる姿は、YouTubeにアップされた映像越しでもインパクトがあった。それは、彼女がBiS時代には見せたこともない一面だったからだ。

 2014年10月には、舞台『DIVE@LIVE-維新-「幕末-狼kick!-」』に出演している。

 2014年11月5日には、遂にMaison book girlのメンバーが発表された。他の3人は、井上唯、宗本花音里、矢川葵。このうち、宗本花音里と矢川葵は『ミスiD』で注目を集めた存在である。

 2014年12月4日、私は初めてMaison book girlのライブを見た。SEの蝉の鳴き声が響く中、メンバーが並び、7拍の楽曲が始まる。1曲目が終わるとメンバーが一旦下がり、蝉の鳴き声とハンマービートが響き、それが止むとピアノの音色をバックにコショージメグミによる朗読がスタートした。他のメンバーもそれに加わっていく。井上陽水の「夢の中へ」のカヴァーもあった。その曲で突然ライブは終わり、周囲がざわめいていたことを覚えている。その後のMaison book girlのライブでは、コントのような小芝居も定番化していく。

 2014年12月18日には、大森靖子が出演した『MUSIC JAPAN』に、コショージメグミがNATURE DANGER GANGのユキちゃんとともに出演。

 2015年1月には、自費出版で書籍『コショージメグミ』を発売している。ソロ・ライブの音源を収めたCD-R付きだった。

 多数のライブを行い順調に見えたMaison book girlだったが、2015年3月8日に「かおりんた」こと宗本花音里が突然脱退を発表。その知らせに、私は終演後の渋谷eggmanに行き、多くは語らずに彼女とチェキを撮った。というか、宗本花音里が推しメンだったため、よく考えたらMaison book girlでは宗本花音里としかチェキを撮ったことがない。

 2015年3月27日に渋谷CHELSEA HOTELで開催された『SOLITUDE HOTEL B1』で宗本花音里は脱退した。アンコールの「my cut」でコショージメグミが「お前らのかおりんた切るぞ!」と叫んで、ハサミで宗本花音里のシャツを下着が見えるほど切りはじめた。この光景はどこかで見た覚えがある。それは、BiS階段解散ライブ(2014年5月6日)のときにセーラー服を切り刻まれたコショージメグミの姿だった。

 この日、和田輪の加入が発表された。宗本花音里のヴォーカルも収録したMaison book girlの初のCD『Black』と『White』も、2015年3月14日に2枚同時リリースされている。置き土産のようだ。

 宗本花音里脱退後のMaison book girlのライブも見ている。2015年4月12日に代官山LOOPで開催された『IDOL NEWSING LIVE1.5』でのMaison book girlのライブについては、以下の記事を読んでほしい。

アイルネ、ベルハー、ブクガ、凜音……アイドルショーケース『IDOL NEWSING LIVE1.5』の熱気

 2015年7月2日のライブでは、3拍の曲でMIXを入れているヲタの姿が新鮮だった。変拍子を多用したリズム、美しく繊細なメロディー、翳りを帯びた歌詞。プロデューサーもメンバーもヲタも音楽的な試行錯誤をしている現場だ。やりがいのある現場を求めている若者に推薦したい。

BiSH

 元BiSメンバーはいないが、「BiSをもう一度始める」という宣言のもとスタートしたグループなので、ここで紹介したい。もちろん前述したように、できるだけまだPOPではなく、BiSHに注目していてほしいという私個人の打算もある。

 最初期のBiSチームである、マネージャーの渡辺淳之介、サウンド・プロデューサーの松隈ケンタ、衣装の外林健太、アートディレクションの真田礼(Studio-Novel)が生んだBiSH。メンバーはセントチヒロ・チッチ、モモコグミカンパニー、ハグ・ミィ、アイナ・ジ・エンドの4人だ。

 2015年4月30日に渋谷TSUTAYA O-nestで開催された『いいにおいのするいきのいいやつらTOKYO』へのシークレット出演が事実上のお披露目であった。その模様は以下の記事でレポートしている。

BiSHはBiSの最初期と最末期が混在しているグループだーー初ライブ現場を体当たり評論

 2015年6月14日の「ギュウ農フェス vol.2 羽田空港アイドルフライトだっぺ!」でのBiSHのレポートも読んでほしい。

BiSHの現場が動物化!? 熱狂と波乱のギュウゾウ主催フェスを徹底レポート

 BiSの名を最初から挙げられてしまったために、BiSHに対してはどうしても厳しい目で見てしまう。末期BiS現場のように、ロキノンのようなノリでクラウドサーフを繰り返すフロアにも、複雑な気分にさせされる。2015年6月21日の『YATSUI FESTIVAL! 2015』でのライブも、またクラウドサーフの嵐であった。

 BiSHは、2015年5月27日にアルバム『Brand-new idol SHiT』をリリース。ここではその翌日、2015年5月28日のタワーレコード渋谷店でのリリース・イベントについて触れたい。

 この日は湘南乃風の若旦那がステージの真横でミニ・ライブを観覧しており、私は若旦那の頭越しにBiSHを見た。刺激こそ足りないが、「ほほえましい」ライブであった。

 終了後、勢いあまって握手会の鍵開け(特典会の最初の1人目になることである)をしてしまった。私はメンバーからの認知が欲しいがために、名乗りながら握手をしていったのだが、4人の最後に並んでいたセントチヒロ・チッチは、その会話を聞いていたために自らこう言ったのだ。「宗像さん、はじめまして」。

 私のBiSHの推しメンがセントチヒロ・チッチに決まった瞬間だった。

 人の心は金で買えないが、ヲタの心はレスと握り(握手)と認知で買える。そのことをBiSHとPOPのメンバーに新たになった女の子たちにも、元BiSメンバーにも、忘れずにいてほしいと切に願うばかりだ。そもそも握手会すらないBILLIE IDLE(R)には、まず接触の機会を作ってほしいのだが……。

 周囲の環境もあるだろうが、最終的に元BiSメンバーのこの1年の活動を決定づけてきたのは、当人の資質以外の何物でもないだろう。ここから先の1年はさらなる勝負が待っているはずだ。元BiSメンバーそれぞれの奮闘に期待したい。

■宗像明将
1972年生まれ。「MUSIC MAGAZINE」「レコード・コレクターズ」などで、はっぴいえんど以降の日本のロックやポップス、ビーチ・ボーイズの流れをくむ欧米のロックやポップス、ワールドミュージックや民俗音楽について執筆する音楽評論家。近年は時流に押され、趣味の範囲にしておきたかったアイドルに関しての原稿執筆も多い。Twitter

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