第8期cali≠gari、新たなステージへ 楽曲を再構築してみせた赤坂BLITZライブレポート

 

 昨年9月の日比谷野外大音楽堂公演(cali≠gari 20th Caliversary"2013-2014" 最終公演 第7期終了 - To say Good bye is to die a little)をもって武井誠(Dr)が脱退し、第7期が終了したcali≠gari。今年1月に石井秀仁(Vo)、桜井 青(Gt)、村井研次郎(Ba)の3人での第8期の始動をアナウンスし、4人のドラマーを迎えて制作した約3年ぶりのフル・アルバム『12』をリリースした。その全国ツアー“セックスと噓とライヴハウス”が5月8日、赤坂BLITZから始まった。

 SEとともに、桜井 青、村井研次郎、サポートドラムの中西祐二がステージに現れると、BPM265の超高速曲「脳核テロル」がかき鳴らされる。轟音とシャウトが降り注ぐなか、石井秀仁が登場すると観客のヴォルテージは早くも沸点に達する勢いで盛り上がりを見せる。彼らは個々でも活動しているため、cali≠gariのライヴは、アルバムをリリースした直後の3月14日にFC限定で行った第8期始動公演ぶりとなる。メンバーにとっても、ファンにとってもこの日のライヴは待望のものだったのだろう。アグレッシヴな演奏で魅せるメンバーと、新曲もしっかり聴き込んできたオーディエンスの相互作用で、会場はツアー初日とは思えないグルーヴが生まれていた。

石井秀仁(Vo) 桜井 青(Gt) 村井研次郎(Ba)

「淫美まるでカオスな」からは、秦野猛行(Key)が加わり、鍵盤のメロディが楽曲の輪郭をくっきりと際立たせ鮮明なサウンドを奏でていく。高速ツーバスと村井のバッキバキのスラップベースが冴える「バンバンバン」では、強力な重低音を効かせ音源とはひと味違った攻撃的なアレンジで観客を圧倒。 中盤からは、アルバムにも参加し3月の第8期始動ライヴにも出演したyukarie (Sax)を呼び込み「ポラロイド遊戯」や「ゼリー」など、アダルトな色気漂うジャズロックをプレイ。「紅麗死異愛羅武勇」では、存在感のあるダイナミックなサウンドでステージに華を添えた。そして「マッキーナ」の間奏では、桜井がジュリ扇片手に踊り、煽り、そこにyukarieも参戦。バブリーなジュリ扇を手に持ち妖艶に高扇する2人のパフォーマンスとはなんともゴージャスで、ライブハウスは一転、ディスコさながらの雰囲気を見せた。

 そして終盤、cali≠gariのライヴではお馴染みの、桜井の煽りによる“セックス”コールを経て披露されたのは、「セックスと噓」。cali≠gari80’sのエッセンスが散りばめられた楽曲の中でもスウィートなメロディと石井の艶やかな歌声が絡み合う一曲だ。映画のエンドロールのような壮大なサウンドを響かせ、本編を締めくくった。

 アンコールでは、本ツアーで会場限定販売されているCDより2015年版「春の日」とアルバムのラスト・トラック「さよならだけが人生さ」を披露。“別れ”をテーマにした切なく、そして出会いを愛おしく思える曲を丁寧に歌い上げ、センチメンタルな空気で会場を包んだ。ダブルアンコールは一転、“死ねばいいのに、死ねばいいのに、あんたの顔を見るのが不愉快”と叫ぶ「わるいやつら」と「クソバカゴミゲロ」というハードなナンバー。最後に畳み掛けるように悪態づくという“らしい”振る舞いで観客を沸かせ、初日の幕を閉じた。

 目まぐるしい展開であったが、この日のライブは主に2009年の活動再開以降に発表した楽曲を中心に構成され、以前の“THE密室系”といった定番曲が盛り込まれていなかったことも、第8期のステージと思わせる新鮮さのひとつだったのかもしれない。再構築を試みながら楽曲の持ち味をより鮮明に表現し昇華するような、多彩なアレンジも印象的であった。そしてステージを去る直前に桜井が発表した、ツアー・ファイナル(7月5日、品川ステラボール)。4人のサポートドラムを迎えて最新アルバムを作り上げ、新たなステージへと繰り出したcali≠gariが、いかに化けて品川の地に立つのか。まったく目が離せない。

 

(文=大島あゆみ/撮影:小松陽祐)

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