嵐『ARASHI BLAST in Hawaii』の振り付けに見る、トップアイドルとしての姿勢
これを踏まえたうえで今回の嵐の映像作品を観ると、とくに「Monster」と「誰も知らない」の曲間で披露されたダンスパフォーマンスに、左の特徴が色濃く現れているのがわかる。幾何学的な手の振り付けや、ところどころでスローモーションとなる動きは、まさに左の振り付けならではのものだ。加えて圧巻なのは、そのダンスが背景の映像や、効果音、花火などの演出ともリンクしているところ。各界のトップクリエイターが、嵐というグループを通してコラボレーションしていることがよくわかるシーンで、嵐のライブ演出がなぜ最先端と称されるのかが一目瞭然である。そして、なにより素晴らしいのが、そんな数々の演出がありながらも、嵐が嵐らしさを失わずにパフォーマンスをしているところ。そうした演出にも気取ることなく、汗を輝かせながら笑顔で演じ切るところに、トップアイドルとしての矜持を感じるのは筆者だけではないだろう。
左のメンバーである梨本威温は、「Sakura」の振り付けを担当した際、自身のTwitterで嵐を次のように評している。「何が凄いってずっと成長し続ける姿勢と、明らかな新ハードルを次々に飛び越えていくその跳躍力、フィールドこそ違えどかっこいい背中が前にあるのは幸せです」(参考:Twitter)
結成から15周年を迎えた2014年の夏、ハワイで彼らが見せたのは、これから先も自分たちらしく挑戦し続けるという、アイドルとしての姿勢そのものでもあったのではないか。クールな振り付けと、エモーショナルな表情とのギャップに、そんなことを考えた。
次週も続けて、『ARASHI Live Tour 2013“LOVE”』について考察したい。
(文=松下博夫)