豊田道倫×テンテンコが語る、ロックとアイドルのイリュージョン

テンテンコ「『BiSキャノンボール』みたいな仕掛けが、やっぱり辛いです」

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豊田:『BiSキャノンボール』のイベントはまだ続いているんでしょう?

テンテンコ:はい、まだやってます。ああいう仕掛け的なのが、やっぱり辛いです。監督のカンパニー松尾さんとは仲が良いんですか?

豊田:仲がいいって言うか、松尾さんは、僕のライブを唯一ずっと撮ってくれているんです。でもBiSの話はまったく言ってくれなくて、テンテンコさんのイベントに出るといっても「とても行きたいけど今は行けない」とか言っていて。何なんだろうって思ったら、「実は今、彼女たちの映画を撮っていて、テンテンコさんがすごく怒っているらしいんだけど、でもこっちも真剣なんだ」みたいな感じで、松尾さんが珍しく熱く語っていたんだよね。松尾さんがあんな風にいろいろと考えるのは珍しいんじゃないかな。

テンテンコ:実は今月、松尾さんたちとあのとき以来、初めてちゃんと会って話すイベントがあるんですよね。もうそんなに怒っているわけではないんですけれど、結局のところ何がしたかったのかは、ちゃんと聞いてこようかなと。一応、そこでケジメじゃないけど、区切りをつけてこようかなと思って。

豊田:松尾さんたちも、あれはかわいそうだったけどね。自分たちにまったく向いていない仕事をしている感じで。本当はみんなもっと悪い映り方をするんだけど、割といい顔で映っていて、でもそれがいいなと思ったんですよ。あと、メンバーのひとりの家に行くシーンもあったじゃない。

テンテンコ:ウイぽん(ファーストサマーウイカ)。

豊田:すごい家でね。これは俺の昔のアパートかっていうくらいにボロい木造のアパートで、うわあと思って(笑)。それと、渡辺淳之介さんがすべて終わったあとに、自分の家で発泡酒を飲むシーンとかね。寂しいシーンなんだけどすごく見応えがあって、そこも結構グッときましたね。

テンテンコ:ええ、グッときました!? 私も一応観たんですけど、少なくとも、渡辺さんのところは全然グッとこなかった(笑)。なんかいい人風に映っているのがまずしっくり来なかったし、最後の泣いているシーンとか、自分の部屋で自撮りみたいな感じで撮っているんだろうなあって想像すると「何だこの人?」みたいな(笑)。こういうこと言うと、私がめっちゃ性格悪いみたいな感じなんですけど、渡辺さんはそもそもこの企画を作った張本人で、一番腹黒い人なわけですよ。監督たちは、ただ自分ができることをまっすぐにやった結果で、BiSのメンバーもやれることをやったじゃないですか。そのみんなの必死さを一番楽しんでいたのが渡辺さんなのに、なんで泣いたりできるんだろうと思って。ウイカちゃんとかも撮影のときはすごく怒ったりしていたのに、「みんなが頑張った」っていう感じで泣いていて。

豊田:たしかに、その気持ちは観ている側には想像できないかもしれないね。だけど、映画だけをみると、頑張っている子たちと、ちょっといい感じのアニキっぽいマネージャーに撮れている。松尾さんは男性だから、そっち側の視点に行っちゃったんだろうね。

テンテンコ:ツイッターとかで女の人の感想を見ると「渡辺さんが気持ち悪かったです」みたいなものが結構あったんですよ。「理解できません」みたいなのとか。でも、これは女の人だからわかる感覚なのかもしれません。

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