CDはまだ売れる時代かーーSMAP×椎名林檎のシングル1位を受けて考えたこと

 とはいえSMAPというのは売り上げ的には安定しないところもあり、それでもやっていけてしまうところも含めて、よくも悪くも大御所グループとしての余裕があるわけです。曲としても中居正広のたいへん個性的な歌い出しでリスナーの耳を掴む『世界に一つだけの花』パターンの曲でありまして、しかしそうした要素もちょっとした小ネタとして扱えてしまえるところに、大御所の大御所たる所以があります。非正規雇用が蔓延し、明日をも見通せないムードが日本を覆い尽くすきょうび、大御所であったとしてもこんな余裕のある振る舞いはなかなかできないもので、だからこそSMAPというのはやはりすごいわけです。曲としても洒脱さと気取りに満ちた大人っぽいナンバーで、本来なら歌唱力で引っ張っていくアレンジを堂々と展開している。しかしなんと、それを結局は歌い切れなくて、それなのに、PVの空気感も含めて背筋を伸ばしてやりきってしまう。そこに初めて真の大人らしさのようなものが漂っていると言うことができましょう。

 ちなみに「中居が歌い出しを担当すると売れる」とか、メディアは書いたりしますが、今回の売り上げは昨今のSMAPとしては可もなく不可もないといったところで、まあ初回枚数が12万枚や13万枚だった前作および前々作に比べると健闘したという程度でしょうか。どっちかというと「4種展開のほうが売れる」という方が純然たる事実なわけで、読者の皆さんにはぜひ、特に根拠のないことを面白いからという理由だけで何でもジンクスのように語る人を信じないようにしていただきたいものだなあと思う次第であります。

■さやわか
ライター、物語評論家。『クイック・ジャパン』『ユリイカ』などで執筆。『朝日新聞』『ゲームラボ』などで連載中。単著に『僕たちのゲーム史』『AKB商法とは何だったのか』がある。Twitter

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