市川哲史の「すべての音楽はリスナーのもの」第3回
X JAPANはU2よりも27年早かった!? 市川哲史が明かす、無料配信にまつわる秘蔵エピソード
そういえばhideが言っていた。「もう皆なんとか、いろんなことやって持ってきてたの。だから洋服もどんどんみすぼらしくなって――毎回同じ恰好になっただけなんだよねー(苦笑)」
同じ無料ソフト話なのに、なんだろうこの圧倒的な経済モデルの差は。
今回のアップルとU2を見てると、貴族にスポンサードされた宮廷クラシックの音楽家のようでもある。リスナーとの契約関係を必要としないのだから、どこまでお気楽なロックバンドなのだろう。
ちなみに次のアルバム『Songs of Experience』が、超近日中に連続リリースされるようだ。無垢さが世間にまみれて淘汰されたのだろうか。というか今回の無料DLは、その次作を盛大に売るための捲き餌だったりして。
たまらんなあ。
■市川哲史(音楽評論家)
1961年岡山生まれ。大学在学中より現在まで「ロッキング・オン」「ロッキング・オンJAPAN」「音楽と人」「オリコンスタイル」「日経エンタテインメント」などの雑誌を主戦場に文筆活動を展開。最新刊は『誰も教えてくれなかった本当のポップ・ミュージック論』(シンコーミュージック刊)