シドShinji、ELT伊藤一朗、UVERworld克哉 & 彰……実は凄腕なギタリストたち6選
90年代ヒットチャートを席巻した音楽プロデューサーのひとり、小林武史が手がけたMY LITTLE LOVERのギタリストだった藤井謙二が、The Birthdayのメンバーとして、THEE MICHELLE GUN ELEPHANTのヴォーカリストだったチバユウスケの横でギターを弾くことになるとは、あの当時誰が予測していたであろうか。
MY LITTLE LOVERとTHEE MICHELLE GUN ELEPHANTは、当時はまったく違う場所に居たかのように見えたし、実際のところ、そのファン層は異なっていたとも思う。
売れれば売れるほど、流行という言葉により、その本質にある音楽性が埋もれて見えづらくなってしまうことは否めない。それが偏見や先入観の持たれやすいジャンルであればなおさらだ。
しかし、そういった先入観などを取っ払って、音楽そのものに耳を傾けてみれば、新たな発見もあるはずである。そこで今回は、あえて音楽ジャンルを固定せずに、その音楽性やプレイに改めて注目したいギタリストたちを集めてみた。
個性の光る腕利きギタリスト3選
シド:ヴィジュアル系の“いぶし銀”ギタリスト、Shinji
テクニックで魅せるタイプというよりも、楽曲の世界観を表現するタイプ。個人プレイには走らず、曲に関係のないギターは弾かない、歌を邪魔するギターは弾かない。それでいて黒っぽさを感じるハネの心地よいカッティングと、あくまで楽曲の延長線上にあり、歌に寄りそうような耳に残るギターソロは、若い人よりもおじさん世代のほうが思わずニンマリとしてしまう渋さなのかもしれない。
パワーコードやサウンドの厚みに頼りがちなバンドが多い中、歪みやエフェクトを多用せずに基本クリーン~クランチで攻めるアプローチは、まさに玄人好みのプレイ。懐の広さを感じる実力派ギタリストと言えるだろう。
Every Little Thing:人の良さそうな元ジャパメタギタリスト、伊藤一朗
人柄の良さそうなルックスとは裏腹に、手に持つのは泣く子も黙るハードロックギタリストの証「キラーギターズ」。しかも数少ないオリジナルのシグネイチャーモデルを使用している一人でもある。
ELTのライブが“アツイ”と言われる所以の一つに、音源とは一味違ったギタープレイがある。ピッキングハーモニクスを巧みに入れた豪快なバッキングや、アドリブとアーミングを交え流暢に弾かれるギターソロは、まさに紛れもなくハードロックギタリスト。
アルバムに伊藤インスト曲が収録されることは定番になっており、ハードロックからジャジーなアコースティックまで多彩なギタープレイと音楽性を垣間みることが出来る。
横須賀出身の伊藤は、実はX JAPANのHIDEが結成したことで知られるSAVER TIGER(横須賀サーベルタイガー)の弟分バンド、The ACE(エース)のリードギタリストだった。メンバーには後年凄腕ベーシストとして名を馳せる、DIE IN CRIES~BUGのTAKASHIが居た。そんな実力派バンドに在籍していた経歴を考えれば、このプレイの幅広さにも納得できるものがある。
UVERworld:バンドアンサンブルの楽しさを伝える、克哉 & 彰
高校生を中心に若い世代では絶大な人気を誇っているバンドではあるが、ある程度の年齢から上の世代でじっくりと聴いたことある人は意外と少ないのではないだろうか。
疾走感とヘヴィさを感じさせるハードロックをベースとした音楽でありながら、ギターソロのある楽曲が殆どない。決して弾けないわけではない、楽曲がソロを必要としないから弾かないのだ。
複雑なリズムや綿密に構築されたリフの組み方、メリハリのあるグルーヴ、抑揚の付け方が面白く、バンドアンサンブルとしてのギターの役割を再認識出来る演奏といえよう。
ロックギターの醍醐味はソロではなくバッキングだとはよく言ったものだが、ロックギターを弾くという楽しさを改めて教えてくれるかもしれない。