拡大するEXILEファミリー、グループ間の違いはどこに? それぞれの音楽的アプローチを読む
先月の27日に日本武道館でEXILEの新たなメンバーを選出するオーディションのファイナル「Coca-Cola zero Presents EXILE PERFORMER BATTLE AUDITION FINAL in NIPPON BUDOKAN」が開かれ、2000名を超える応募者の中から新たに5人のメンバーがパフォーマーとして加わった。新生EXILEのメンバーに選ばれたのは三代目J Soul Brothersの岩田剛典、GENERATIONSの白濱亜嵐と関口メンディー、そして一般枠から選出された山本世界と佐藤大樹。結果としてEXILEファミリーから3名が加わることに決まった今回のオーディション、そもそもそれぞれのグループにはどのような相違があるのだろうか。今回は主に彼らの音楽性に着眼して、EXILEファミリー4組の特徴をおさらいしていく。
R&BにJ-POPを融合させ独自のダンスナンバーへと昇華させたEXILE
説明不要、いまや国民的人気を誇るダンス・ボーカルユニットEXILE。1990年代にZOOで活躍したHIROをリーダーに2001年結成。これまで43枚のシングルと9枚のオリジナルアルバム、5枚のベストアルバムをリリースし、昨年には「EXILE PRIDE 〜こんな世界を愛するため〜」で史上初となる「日本レコード大賞」4度目の受賞という快挙を成し遂げている。
そんな彼らの音楽性だが、デビュー当初は直球のR&Bナンバーが中心。今からは考えられないような泥臭い楽曲を歌うグループだった。しかしプロデューサーのMax Matsuuraが離れた後は徐々にポップス路線へと移行、「Together」(2003年)のヒット以降はこの傾向が顕著となっていく。ボーカルのATSUSHIは当時のインタビューで次のように話す。「最初はR&Bっぽく歌おうと無理していた。けど『Kiss you』あたりからいい意味で力が抜けてきて、無理にR&Bを抱えなくても日本人として伝えなくちゃいけないことがたくさんあると気付いたんだ」(2009年、雑誌『vivi』より)。そして現在、彼らの歌う楽曲は出自のR&BとJ-POPをベースに、流行のEDMの要素を取り入れたトラックとなっている。2013年9月25日にリリースされた「No Limit」はそれらの要素を凝縮しEXILE流に昇華させた、ノリノリなダンスナンバーだ。
EXILEに「オトナ」なテイストを加えた三代目J Soul Brothers
EXILEの前身ともいうべきユニット「J Soul Brothers」の名を継承した7人組のダンス&ボーカルユニット「三代目J Soul Brothers」は2010年より活動を開始。これまで12枚のシングルと4枚のアルバムをリリースしている。結成の経緯からも分かるように、その音楽性は本家EXILE直系。「ジャパニーズ・ソウル」の名の通りアメリカのブラック・ミュージックを日本流に解釈したサウンドが特徴で、ギタリストのマーティー・フリードマンは彼らの音楽を「宇多田ヒカルに始まった伝統的な日本のR&B系J-POP路線。一見、アメリカのニオイがするけど、実はとてもスタンダードでストレートな日本らしいダンスチューン」(サイゾー「ジャニーズの未来を背負うSexy Zoneに立ち塞がる黒い軍団・三代目J Soul Brothersの実力」より)と語っている。実際、2014年3月26日にリリースされた最新曲「S.A.K.U.R.A.」を聴くと、EXILEに似た雰囲気を持ちながらもより「オトナ」でソウルフルな楽曲であることがわかる。
ロックとダンスミュージックを融合させたTHE SECOND
EXILEファミリーの中でもある種、異端な存在なのが2012年7月1日に結成されたTHE SECOND from EXILE。これまで2枚のシングルと1枚のアルバムをリリース、最新作にあたるアルバム『THE II AGE』はHIROの手を離れて作られた初のセルフプロデュース作品だが、その音楽性はロック色が非常に強いのが特徴。ボーカルのSHOKICHIはインタビューのなかで「ギターサウンドも入っているしロックの要素も多い。特に意識したわけではないが、根本的にはJ-POPやロックの影響が強いと思う」と語っている。アルバムのリード曲「HEAD BANGIN'」は重厚なギターリフとドラムが特徴の力強い楽曲だ。
初々しさ残る爽やかアイドル風のGENERATIONS
2012年11月21日にシングル「BRAVE IT OUT」でデビュー。メンバー全員が1990年代生まれというEXILEファミリーのなかでも群を抜く若さの「GENERATIONS from EXILE TRIBE」はこれまでシングル5枚とアルバム1枚をリリース。ソリッドで攻撃的でありながら洗練されたトラックにアイドル然した瑞々しいボーカル、という組み合わせは彼らのデビュー時に一世を風靡したK-POPの音楽性に親しい。最新曲「NEVER LET YOU GO」のPVは爽やかさ全開、楽曲も非常にポップス寄りで若さ溢れるナンバーだ。
以上、EXILEファミリー4組の音楽性を駆け足で振り返ってきた。ファミリーと言えどそれぞれのグループに特徴があり、同じ「ダンスミュージック」でも各々の個性が発揮されたものであることがわかる。もちろん本家EXILEのように、これから音楽性が大きく変化していく可能性も大いにあるだろう。彼らが今後どのような音楽へと向かっていく(あるいは深めていく)のか、これからも目が離せそうにない。
(文=北濱信哉)