ワンオクTomoya、POLYSICSヤノ、MERRYネロ……実は凄腕なドラマーたち6選
二面性を持つドラマー3選
後半は少し視点を変え、二面性、「二つの顔を持つドラマー」に注目していきたい。
プレイヤーとドラムテック 有松益男(BACK DROP BOMB)
北九州男児のドラムともいうべき、重厚かつ、ず太い音ながらタイトなドラム。オフビートに乗せ、独特のタメを利かせたスネア捌きはドラマーなら誰もが真似したくなるプレイであり、憧れる音。
そんなサウンド作りの上手さを活かし、ドラムテックとしても名を馳せている。
生楽器であるドラムはそのセッティングもシビアだ。そんなレコーディング現場におけるセッティング、メンテナンスに至るまで細かくチューニングする仕事。それはVAMPSからUVERWorldまで多岐に渡り、ドラマー界の頼れる兄貴である。
オリジナルバンドとサポートワークス 石井悠也(カムロバウンス)
いきものがかり、ポルノグラフィティ、世良公則、Buono!……自身のバンド、カムロバウンスで活動する傍ら、サポートミュージシャンとして今注目を浴びているドラマーである。
力まずスナップを利かせた切れ味の鋭いショットから放たれる正確無比なリズム、バラード調の楽曲では完全にドラムが歌っている。
様々なジャンルに対応する技術はもちろん、その中でいかに自分らしさを盛り込めるかがサポートワークでは重要である。フィルやブレイク、その瞬間にとんでもない“はっちゃけ”をしてくるのも持ち味だろう。正確さと自分らしさ、この絶妙なバランス感覚、ハイセンス極まれりといった感じだ。
ロックンロールとスラッシュメタル 桐田勝治(ザ・クロマニヨンズ)
シンプルでストレートなロックンロール、それを牽引するストレートなドラミング。「安定感のある」という言葉では収まり切らない腰の座ったリズムは重戦車のようだ。時折、爆発的な加速を見せ、手数が多くなる。しかし、それはあまりに見事すぎて他を邪魔立てすることはない。
この桐田、もう一つの顔がある。
ジャパニーズ・スラッシュメタルの雄、Gargoyleのドラマー、KATSUJIとして。こちらが本来の姿である。
弱冠17歳で加入。四半世紀以上に渡る活動の中で「ライブバンドの帝王」とも呼ばれるカリスマバンドである。
疾走感なんていうレベルではない早さのブラストビート、これでもかと言わんばかりのツーバスとフィルの応酬は、力強さと細やかさを兼ね備えた圧巻のドラミング。リズムがズレることはない、まさに名手という言葉しか出てこない。
日本語ロックレジェンドと言うべきロックンロールバンドと、方や「帝王」とも呼ばれるスラッシュメタルバンド。そんなジャンルも見た目も異なるモンスターバンドを行き来する、まさに二面性を持つドラマー中のドラマーである。
バンドの熱量をもっとも伝えるのは、ドラマーかもしれない
「じゃんけんに負けたヤツがドラムになる」
バンドを始めるときによく言われた言葉。かつてはそんな時代もあった。
住宅事情含め、手軽に始められるものでもない。ギターやベースと比べれば、その「楽器を演奏している」感覚は薄いのかもしれない。ステージ上を駆け巡ることも出来なければ、客席からは一番遠い場所で座っている。そんな、何となく地味なイメージを持たれるのかもしれない。
しかし、その両手両足を使い、全身を駆使して音楽を表現するそのドラマーの姿は、実にドラマチックであり、アスリートのようでもある。実はバンドのカッコよさ、熱量を一番伝えることの出来るポジションではないのだろうか。