ワンオクTomoya、POLYSICSヤノ、MERRYネロ……実は凄腕なドラマーたち6選
ドラムはギターのように“バンドの花形”と呼ばれることの少ないポジションかもしれない。
しかし、我が国のロックシーンにおいては、壮絶なドラミングで見る者を熱狂させたX JAPANのYOSHIKIや、Zi:KILL、Die In Cries、L'Arc-en-Cielと一時代を築いたバンドを千手観音のようなプレイで渡り歩いたyukihiro、そしてシンプルながらも野性的なリズム、キレのあるテクニックでリスナーを魅了したBLANKEY JET CITYの中村達也など、多様なスタイルを提示してきたドラマーも多い。
構造上、単純な打楽器である。しかし単純であるからこそ、自由度も高く、その人なりが良く現れるとも言えよう。バンドにおいてもテンポとテンションを左右する重要な役目でもある。
今回はそんなバンドの要でもあるドラマーを様々なスタイル、ジャンルの中から「隠れた名手」ともいうべきドラマーを紹介していきたい。
スタイリッシュなドラマー3選
アグレッシヴなパワーヒッター Tomoya(ONE OK ROCK)
その温和なルックスとは裏腹に大きく振りかぶったショットは一音入魂、まるでパワーヒッターのようであり、外国人ドラマーを彷彿とさせるアグレッシブなドラミング。
力任せに叩けば大きい音が出るものでも無く、そもそも大きい音と力強い音は全く別。そんな“鳴らし方”をちゃんと知っていると思わせる説得力。学生時代は吹奏楽部でパーカッションを担当、音楽専門学校でドラムを専攻。なるほど、基礎が出来ている。型にハマらないロックの世界では人に教わることを良しとされないことだってある。だが、その基礎があった上で自分なりの持ち味を出すことが出来るのなら、まさに鬼に金棒、いや、金棒ではなく鉢、スティックか。
今最も勢いのあるバンドのひとつとして、「日本にもこんなドラム叩くやつがいるんだぞ」と胸を張って言える、そんな誇らしさを感じるドラマーである。
クリックアンドロイド ヤノ(POLYSICS)
すらっと伸びた背筋、腋を締め、的確に繰り出されるリズムは、そのバイザー(サングラス)に隠れた表情と共に、人間味すら忘れてしまうほどの正確さ。シーケンスフレーズと一体化するドラミングは、“忍び”を思わせるほどの軽やかさで、時にどれが打ち込み音であるか解らなくなることだってあるほどだ。
ヴォーカル、ハヤシのハイテンションなステージングも魅力のバンドであるが、いつだって冷静さを失わずにリズムキープする姿は「常にメンバーの背中を見ている」ドラマーというバンドの監督的ポジションを1番年下ながら解っているようで頼もしく見える。
そんな冷静沈着、クールなヤノもバンドが3人体制となってからはギターを片手に、フロントに躍り出るという新たなキャラ開拓もしているようだ。そんな“芸風”の拡がりを含め、今後も目が離せないドラマーなのである。
ヴィジュアル系の暴走機関車 ネロ(MERRY)
畳みかけ、捲し立てる、一度観たら忘れられなくなるようなタム回し。熱が入り過ぎて、時として我を忘れるかのように狂い叩く。ただそれはアンサンブルの乱れというわけではなく、バンドとしての狂気を呼び起こすスイッチなのかもしれない。細かい技術云々がどうでも良くなるくらいのねじ伏せる力があるのだ。
上手いと言われるドラマーは数多く居るだろう。しかし、プレイを見ただけで、音を聴いただけで「ネロのドラム」と解ってしまうようなドラマーはそうそうお目にかかれるものではない。誰にも真似することのできない「オンリー・ワン」。それはロックドラマーとして、プレイヤーとしての理想の完成形の一つだ。