DIR EN GREY、原点回帰の理由は? ヴィジュアル系シーンへの影響を読む
DIR EN GREYが約4年ぶりとなる日本武道館公演『DUM SPIRO SPERO』を3月8日と9日の2日間にわたり開催し、10日には東京・新木場STUDIO COASTの『a knot』限定公演を皮切りに幕を明ける新規ツアー『TOUR14 PSYCHONNECT - mode of "GAUZE"?-』を行うことを発表した。
新規ツアーは、1999年にメジャー1stアルバム『GAUZE』を携えて全国13都市24公演が行われた『PSYCHONNECT -mode of "GAUZE"?-』の続きとも言える内容で、今回は全国6会場10公演が予定されており、ボーカルの京は「深く考え込まずに、一企画、一お祭りだと捉えてくれたら」とコメントしている。
また、終了したばかりの日本武道館公演の模様を今年7月に映像化することと、『DUM SPIRO SPERO』に続くオリジナルアルバムを11月にリリースすることも発表。99年のメジャーデビュー以降、勢力的に活動を続け、2007年からは世界各国での活動も顕著となっているDIR EN GREY。2012年2月には、ボーカルの京が喉を患ったために活動休止することもあったが、同年8月には活動再開、ツアー『TOUR2012 IN SITU』を敢行した。2013年には『Ozzfest Japan 2013』に日本人アーティストのトリとして出演している。今や国籍や世代を越えた人気バンドとなっているDIR EN GREYにとって、今回の一連の発表はどのような意義を持っているのか。同グループに詳しいライターの冬将軍氏は、次のように分析している。
「DIR EN GREYは、現在の世界的なヴィジュアル系人気の礎を築いたバンドでしたが、それと同時に脱ヴィジュアル指向もあり、一時期はメイクを落とし、ヘビーロック路線を突き詰めていたこともありました。しかし最近は、活動初期の頃のような曲が増えたり、かつての曲をリアレンジしたりと、原点回帰しているかのような動きを見せています。ヴィジュアル系シーンにはこれまで様々な偏見もあったと思いますし、DIR EN GREY自身もヘビーロック路線になったとき、そういう意識が少なからずあったのではないかと思いますが、ここにきて再びメイクなども積極的にするようになってきました。その背景には、海外を回る中で自分たちのなにが受けているのかを身を持って体験し、ヴィジュアル的な面とハードロック路線を高い次元で融合することによって、確固としたオリジナリティを確立したことがあるのではないでしょうか。自信がついたからこそ、昔の自分たちも受け入れられるようになったというか。今回のアルバムやツアーでは、DIR EN GREY特有の和製の節回しや、ファーストの頃にやっていたようなハイトーンボイス、洋楽的なヘビーロックがうまく混ざった、より彼ららしいサウンドを披露していくのかと思います」