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ただ醜いだけの音楽なら誰にでも作れるが、マーク・アーモンドは醜さをテーマに心底美しい音楽を創り出すことができる稀有なアーティストだ。そして、80年代に“ソフト・セル”で活躍し、シンセ・ポップのフィールドを開拓して以来、彼は何年間も長く、暗い(それは彼自身が選んだものだが)旅路をたどっている。アーモンドは自身がゲイであるという事実を命題に、同性愛のオブセッションを探求しながら作品を生み出しているのだ。
あっけらかんとしたポップ・フィールドには背を向け、スコット・ウォーカーの音楽や、ジャン・ジュネ、ジョルジュ・バタイユといった屈折した文学世界に接近。風変わりなディスコ・チューンから、『Mother Fist And Her Five Daughters』(87年)でのもの悲しいキャバレー音楽、『The Stars We Are』(88年)でのオーケストラ・ポップ……に至るまで、実に個性的なアルバムを発表してきた。そしてついに、『オープン・オール・ナイト』(99年)なるアルバムで、メジャー感覚とアヴァンギャルド嗜好の最適なバランスについに到達したようである。

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