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58年英ケント州生まれ。78年から82年という非常に短い実働期間ながら、ジャパンにおいてカリスマぶりを誇ったフロント・マンでもある。グループ在籍当時は、グラム的なアプローチと黒人音楽への憧憬を起点にしていた彼だが、後にデヴィッド・ボウイやロキシー・ミュージックが具現化した欧州モダーン・ミュージックに超個人主義的思想を合体。背信的で憂鬱、そしてどこか枯れたムードのエレ・ポップを堂々完成させた。
ソロ活動開始後の彼は、後期ジャパンの美学を踏襲しつつも、「アーティスト志向」を思うがままに炸裂させていく——。『ブリリアント・トゥリーズ』(84年)『ゴーン・トウ・アース』(86年)『シークレッツ・オブ・ザ・ビーハイヴ』(87年)といった3枚のアルバムでは、禁欲的なまでに自己内面をえぐった、幽玄な音世界を呈示。以降、『錬金術』(85年)を筆頭に、ホルガー・シューカイや坂本龍一、ロバート・フィリップ(ex.キング・クリムゾン)らとのコラボレーションを積極的に(しかし、あくまでもシルヴィアン流の洒脱さとマイペースぶりをキープしつつ)繰り返し、ハイブリッドな音楽表現を探求していったのだ。
ソロ作品においては"インストゥルメンタルの充実"をはかった時期もあったが、やはりシルヴィアンの魅力は、あの低くくぐもっていながらもゴージャスな声質とユニークな言語感覚にあるといえるだろう。そして現在でも、その声のマジックは聴き手を陶然とさせるものであり、パラノイア的ともいえる音楽への探求心は失われていない。

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