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初めて好きになったアーティストは、エルヴィス・プレスリー。しかし、彼が惹かれたのは、プレスリー本人ではなくプレスリー・サウンドに施されたエコーの響きであった。——と、いかにもなエピソードをもつブライアン・イーノは、70年代始めにロキシー・ミュージックのメンバーとしてシーンにデビュー。脱退後は、アンビエント・ミュージックに開眼し、メロディやリズムを楽しむ音楽ではなく、ドラマ性を排し、木々のざわめき/虫の声/都市の騒音などに混じり"環境の一部となって機能する音楽"という新たな価値観を呈示する。さらに、プロデューサーとして、ジョン・ケイジやマイケル・ナイマンといった現代音楽家からデヴィッド・ボウイ、トーキング・へッズ、U2などのロック・ミュージシャンまでを手がけ、彼特有のアンビエント効果の波及に努めた。
こうして、イーノが蒔いた種はアンビエント・ミュージックだけでなく、ロック/パンク/テクノにまで根を張り、現在も"ルーツ・ミュージック"として大きな影響力を発揮している。

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