>  > アキマツネオが語る、T.Rexの魅力と本質

トリビュートアルバム『T. Rex Tribute 〜Sitting Next To You〜 presented by Rama Amoeba』インタビュー

アキマツネオが語る、T.Rexの本質「マーク・ボランの魅力は音楽理論を超えたところにある」

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いつまで経っても色褪せない魅力がある

ーー今作は、アキマさんのバンドであるRama Amoebaがバックの演奏をしているのですね。例えば原曲との距離感など、アレンジする上で気をつけたことはありますか?

アキマ:まずはゲストボーカリストと話をして、彼らの要望やボーカルスタイルなどを加味しつつこちらで考えました。例えばハリーと一緒にやった「The Slider」は、もう本気でT.Rexを再現しようと思って演奏していますし、音質面にもこだわっています。逆に、日高(高央:THE STARBEMS)くんに参加してもらった「The Soul Of My Suit」は、かなりチャレンジングなアレンジを施していますね。

ーーオカモトショウさんの歌う「Celebrate Summer」は、かなりパンキッシュでジョニー・ロットンを彷彿とさせる要素もありました。

アキマ:そうなんです。あの曲は1977年、マーク・ボランが亡くなる直前にリリースした曲で。ちょうどその頃パンク・ムーブメントが勃発するんですけど、当時イギリスのベテランミュージシャンたちはほとんどがパンクスに対して否定的だった。そんな中、マーク・ボランだけが、「自分がやりたかったのは、こういう音楽だ」と絶賛したんですよね。実際、ツアーの前座にThe Damnedを抜擢したり、The JamやThe Boomtown Ratsをテレビ番組『Marc』にゲストで呼んだりしていて。T.Rexのライブ会場にはパンクスが溢れ返っていたらしいんです。

ーーへえ!

アキマ:で、ショウもそういう背景をわかっていて、「Celebrate Summer」はちょっとパンクの要素も入った音楽だし、「このアルバムの中で若手の俺がT.Rexを歌うなら、この曲をパンキッシュに歌いたい」と。本当、おそろしく勘がいいヤツなんですよね(笑)。

ーー今回カバーしてみて、改めて気づいたT.Rexの魅力というと?

アキマ:楽曲の魅力はもちろんのこと、とにかく楽器の音がいいですよね。それもあってか、いつまで経っても色褪せない魅力がある。まあ、僕なんかはメチャメチャ入れ込んでるから、そう思うのかもしれないけど、それを差し引いても「いい曲ばかりだな」と。だから未だにCMや映画などで使われるのでしょうね。

ーー例えば「20th Century Boy」のイントロのギターなど、今聴いても凄まじいインパクトですよね。

アキマ:本当にそう思います。ただ、T.Rexというとどうしても「20th Century Boy」と「Get It On」がが取り沙汰されることが多いじゃないですか。実は、マーク・ボランの全キャリアからしてみると、この2曲ってそれほど「彼らしい曲」っていうわけでもないと個人的には思うんですよ。なので今回のトリビュート盤でも、まずは「Get It On」で間口を広げておいて、聴き進んでいくうちに彼の本質が垣間見えてくるような、そんな曲順を心がけました。

ーーそもそもアキマさんは、どんなきっかけでT.Rexと出会ったのですか?

アキマ:僕にとって洋楽との出会いが、T.Rexのシングル「Solid Gold Easy Action」(1972年)だったんです。小学校6年生の頃だったんですけど、ものすごいショックを受けまして。これまで聴いてきた歌謡曲とは全く違う、一度も耳にしたことのない音だと思ったんですよね。自分の認識していた「音楽」というキャパを、遥かに超えるものだったというか。当時はレコードだったんですけど、回転数を間違ったのかとすら思った。そこで彼らにめちゃくちゃハマって現在に至るという感じ(笑)。

ーー最も好きなアルバムというと何ですか?

アキマ:いや、もう嫌いな曲は1つもないので、どのアルバムが特別好きとかそういうのもないですね。しかも、T.Rex以外のアーティストは殆ど聞けないんですよ、退屈だから。家にあるのもT.Rex関連のアルバムばかり。何度か他のアーティストのアルバムも買ってはみたのだけど、1曲目の途中で飽きちゃう。

ーー(笑)。

アキマ:だから、僕は「音楽ファン」ではないのだと思います。日頃は音楽なんて全く聞かないし、自分にとっての「音楽」はT.Rexだけなんですよ。

ーー音楽以外の魅力、例えばルックスやファッション、人柄などについてはいかがですか?

アキマ:伝記などを読むと、人としては最低だったみたいですね(笑)。それはドラッグの影響も大きかったのでしょう。ただ、そこは僕にとってはあまり重要じゃないですね。ルックスやファッションもさして興味がなくて。全てはマーク・ボランの楽曲と歌声とギター。そこに尽きます。彼に変わる存在って思いつかないんですよ。特にギタリストとしての側面って、殆ど評価されていないですが、あんなギターを弾ける人もあまりいないと思う。音楽理論を超えたところにその魅力はあるんじゃないかって。

ーー例えば?

アキマ:マークはほとんど同じスケールで同じ音程でソロを弾くんです。それが曲のキーが違ってもなんですよ。そういう部分を「きちんと評価すべきだ」と言ったのは、ハービー・フラワーズ(1976年〜1977年にT.Rexに在籍していたベーシスト)だけだったみたいですね。ハービーは当時、イギリスの優秀なセッション・プレーヤーで。そういう人が、マークのギターを認めてくれたのは単純に嬉しかったですね。

ーーマークのギターって、コピーするのは簡単ですか?

アキマ:めちゃくちゃ大変です(笑)。ものすごく高度で難解なフレーズをさらっと弾くんですよ。楽器や機材も相当変わっていて、例えば『Electric Warrior』(1971年)のジャケットに写っているのは、マークの自宅の近くにあったVampowerというブランドのギターアンプなんです。このアンプはマークがいろいろアドバイスしてできあがったものなんですよね。それが、今では当たり前になってるのだけど、当時としては最先端なゲイン、ボリューム、マスターボリュームという3ボリュームタイプのアンプだった。その随分後になってMesa/Boogieなどが、3ボリュームタイプのアンプを作った。そういう意味でVampowerは、オーパーツみたいなアンプだった(笑)。

ーーアキマさんは所有されているそうですが、今はもう手に入りにくい?

アキマ:難しいでしょうね。Vampowerは短命なブランドだったし、生産数が物凄く少なかったんです。その後、マークはHH IC 100というアンプに切り替え、ずっと使い続けていました。それからエフェクターはDallas Rangemasterというトレブル・ブースター。これはマークのトレードマークとも言える機材ですね。ギターは、ライブではGibson Les PaulかFender Stratocasterを使っていることが多かったと思います。

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