aespaに異世界アイドル……王道の浸透により邪道が存在を示すバーチャルアイドル×K-POPの変遷と可能性
完全バーチャルメンバーによるグループが誕生
一方、完全にCGIのバーチャルメンバーによるグループも続々と誕生している。2022年に「FEEL ALIVE」でデビューしたVERSE:DAYは韓国コンテンツ振興院とAIに特化した音楽コンテンツプラットフォームであるEnterartsが主管する、「2022コンテンツインパクト」事業の一環として誕生した。YouTubeや先述のZEPETOでの活動を主軸とするようだ。
また、楽曲制作にEnterartsが参加し、AIグラフィック専門企業のPULSE9によってディープリアルAI技術をベースにして制作されたのがガールズグループのETERNITYだ。ディープリアルAIは、実写型のバーチャルヒューマンイメージを生成し、直接撮影した映像と合成してコンテンツを製作するAI技術だ。 ETERNITYはAIで作られたCGアイドル101人からファン投票で11人が選ばれてデビューという、人間界におけるアイドルデビューサバイバルを通して2021年3月、初のMV「I'm Real」を公開し本格活動を始めた。メンバーの数は今後も変わる可能性があり、ユニット別での活動など、NCTのようなフレキシブルな形で運営していくグループとのことで、今後タイで同様のボーイズグループのデビューが予定されている。
同じく今年デビューしたMAVE:は「100年続くアイドル」を標榜するAIバーチャルヒューマンアイドルグループで、デビュー曲の「PANDORA」のMVが公開2週間で1000万ビューを記録するなど、大きな注目を受けている。制作したメタバースエンターテイメントは、韓国のゲーム大手会社であるネットマーブルの子会社F&Cと、IT大手カカオエンターテインメントが合同で立ち上げたバーチャルアーティスト専門の芸能事務所だ。バーチャルアイドルの弱点となりやすいダンスパフォーマンス時のリアリティに関しては、長年3DCGゲームを制作してきた強みが活かされているようだ。『SHOW CHAMPION』などのリアルの音楽番組にも出演しており、同時にカカオウェブトゥーンやカカオページといったウェブトゥーンやウェブ小説のプラットフォームからも同時にMAVE:の物語を発信する等、3次元と2次元に同時にアプローチするという試みもされている。各プラットフォームで人気の「アイドルもの作品」のキャラクター達が先輩としてMAVE:のデビューお祝いコメントを寄せるというリアルアイドルのような演出もされていた。