『Detroit: Become Human』の世界累計販売数が800万本を突破 プレイヤーの選択で紡がれる物語の魅力を振り返る

Detroit: Become Human振り返り

 1月19日、Quantic Dreamより発売されたアクションアドベンチャーゲーム『Detroit: Become Human』の世界累計販売本数が、800万本を突破したことが発表された。

 『Detroit: Become Human』は、人間とアンドロイドが共生する近未来のデトロイトを舞台に、3人のアンドロイドとプレイヤーの選択を通じてシナリオが分岐するオープンシナリオアドベンチャーゲーム。本稿では、本作の物語やシステムの魅力を改めて振り返りたい。

人間とアンドロイドが共に生きる未来

 AI技術やロボット工学の発展により、人間と見分けがつかないほどの精巧なアンドロイドが人々の生活に溶け込むようになった社会で、人間は過酷な労働から解放され、さらなる発展と富を手にしていた。しかし、その影響で人間の生活は二極化し、貧富の差が急速に拡大。アンドロイドに職を奪われた人々のなかには反アンドロイドを掲げ、差別したり排斥運動に手を出す者もいた。

 プレイヤーは捜査官のコナー、世界的に有名な画家の家事・手伝いを行うマーカス、母親が蒸発した家庭で幼い娘の面倒を見ながら生活をしているカーラの3人を操作しながら、物語を進めていくことになる。なお、この3人はいずれもアンドロイドだ。

 彼らを軸に展開されるアンドロイドと人間の共生関係や、そこで発生する社会問題をリアルかつ鮮烈に描いた物語の完成度は、発売当初から大きな話題を呼んでいた。

圧倒的な選択肢と変化するシナリオ

 人間とアンドロイドをテーマにした作品は世の中に数多く存在するが、『Detroit: Become Human』がこれほどまでに人々の支持を集めたのは、圧倒的に豊富な選択肢と、それにリンクして変化していく無数のシナリオの存在だ。

 ゲームをスタートすると、プレイヤーはまずコナーを操作することになる。アンドロイド絡みの事件で現場に到着すると、荒れたアパートの一室で割れた水槽から飛び出た熱帯魚を見つける。

 そこで早速、その熱帯魚を「助けるか」「助けないか」という選択肢が発生。プレイヤーはこのように、ほんの些細な出来事から大きな決断までゲーム内で迫られることになるのだ。そして、その選択のひとつひとつが3人のアンドロイドと、今後のストーリーの展開に大きな変化をもたらしていくというわけだ。

プレイヤーとアンドロイドの狭間で

 作中では、本来は意志や感情をもたないはずのアンドロイドに徐々に”感情”という概念が芽生え、自らの意志で行動してしまう様子が描かれる。このように、人間の管理下から逃れたアンドロイドたちを「変異体」と呼ぶ。

 『Detroit: Become Human』ではこの「変異体」の登場をきっかけに、人間とアンドロイドの対立が表面化し、デトロイトや全米を巻き込む事態にまで発展していく。

 プレイヤーは、人間である自分とアンドロイドである主人公たちの間で揺れ動く感情を抱え、数々の難しい選択をこなしていく必要がある。美麗なグラフィックで表現される繊細な心理描写によって、これでもかと高まった没入感と緊張感のなか、自身の理性とストーリーとして体験してきたアンドロイドしての気持ちがごちゃ混ぜになって、悩みながら重大な決断を下すことになるのだ。

まるで映画のよう?

 『Detroit: Become Human』の魅力としては、アンドロイドの存在が当たり前になった、近未来の科学技術によるさまざまなギミックも挙げられる。

 たとえば、アンドロイドは周辺情報をスキャンして読み取ることで、人間の目には見えない情報を取得できたり、過去の状況を再現できる。作品の舞台となるデトロイトでは、アンドロイドと人間が明確に区別されたうえで、それぞれの日常生活が営まれているということだ。また、人々のアンドロイドに対する事情や心情がかなり細かく表現されている点も注目ポイントのひとつ。

 本作に対して「まるで映画をみているようだ」「自分が作った映画をプレイしている気分」といった評価がプレイヤーから寄せられていることからも、本作の完成度の高さがうかがえる。

自分だけの特別な物語を

 先述のとおり、本作では唯一無二のストーリーを体験できるわけだが、ストーリーが無数に変化するというその特性は、プレイヤーに自然なかたちで周回プレイを促すことになる。作中ではひとつのチャプターが終了すると、分岐がフローチャートとして表示され、"物語の可能性"を確認できる点も面白い。

 このフローチャートでは、「自分と同じ選択肢を選んだのが、全世界のプレイヤーのうち何%ぐらいか」という情報も表示される。実際、「レアな選択をした結果、かなり希少なエンディングにたどり着いた」という報告もネット上ではみられた。

 このようなゲーム性から、本作は実況プレイも盛んに行われている印象だ。一本道のシナリオではないからこそ、「ほかの人がどんな選択をし、どんな物語を進んでいるのかを見たくなってしまう」というのも頷ける。著名人や配信者のプレイと自分のプレイとの違いに驚いたり、観たことがない展開を楽しんでいる人も多かったのではないだろうか。

 本作をまだプレイをしたことがない人も、ぜひ一度本作を手に取り、自分だけの物語を見つけてみてほしい。

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